トレンドマイクロでは2019年上半期(1~6月)における国内外での脅威動向について分析を行いました。2019年に入り、法人組織を脅迫するランサムウェア被害が継続的に発生し、更なる深刻化の傾向すら見せています。またそれらの被害の原因として、標的型攻撃の手法を使用した攻撃の存在が明らかになってきました。
![図](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2019/09/国内法人からのランサムウェア関連問い合わせ件数推移-.jpg)
図1:国内法人からのランサムウェア関連問い合わせ件数推移
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トレンドマイクロでは2019年上半期(1~6月)における国内外での脅威動向について分析を行いました。2019年に入り、法人組織を脅迫するランサムウェア被害が継続的に発生し、更なる深刻化の傾向すら見せています。またそれらの被害の原因として、標的型攻撃の手法を使用した攻撃の存在が明らかになってきました。
図1:国内法人からのランサムウェア関連問い合わせ件数推移
トレンドマイクロでは、2018年の1年間に確認した、日本国内における「標的型攻撃」に関しての分析を行いました。ネットワークに侵入する攻撃は、法人組織にとっては深刻な被害につながりかねない危険な存在です。トレンドマイクロのネットワーク監視の中では、3社に1社の割合で脅威の侵入可能性高として警告が行われており、そのうちの6割、全体で見ると5社に1社では遠隔操作が行われた疑いも検出されています。このような状況の中で、極力マルウェアを使用せず正規ツールやOSの標準機能を利用して活動を行う攻撃戦略が攻撃者の常套手段となってきていることがわかりました。
トレンドマイクロは、人気のあるオープンソースの自動化サーバ「Jenkins」の初期設定で、限られた権限のユーザが管理者権限を取得し、遠隔から任意のコードを実行できる可能性があることを確認しました。本記事では、このセキュリティ課題の詳細と想定される攻撃シナリオについて解説します。
Jenkinsは、ソフトウェア開発チームのDevOpsにおいて開発側の作業を管理するために使用される人気のあるオープンソースの自動化サーバです。Jenkinsは、継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI / CD)プロセスにおいてソフトウェアプロジェクトを自動的にビルドすることが可能です。このようなタスクはジョブと呼ばれます。
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サイバー犯罪者が全文検索エンジン「Elasticsearch」のサーバを狙うのは、法人組織におけるその人気と普及を考えると珍しいことではありません。事実、2019年第1四半期にはElasticsearchサーバの脆弱性やセキュリティの不備を突く攻撃の急増が見られました。トレンドマイクロの確認では、これらの攻撃は主に仮想通貨発掘マルウェアを送り込むものでした。
しかし最近、直接的に金銭的な利益をもたらすマルウェアではなく、バックドア型マルウェア「Setag(別名:BillGates、トレンドマイクロでは「ELF_SETAG.SM」として検出)」を送り込む攻撃が確認されました。これにより攻撃者は分散型サービス拒否(Distributed Denial of Service、DDoS)攻撃のためのボットネットを構築します。
AppleはiOSのサンドボックス機構を使用して各アプリケーションがアクセス可能なリソースを制限し、アプリケーションのセキュリティとプライバシーを管理しています。この仕組みは、あるアプリが侵害された際に被害の範囲を制限するためのもので、App Storeを通して配布されているすべてのアプリによって採用されています。
このようなアクセス制御はアプリ間の通信を困難にしますが、Appleは慎重に設計されたいくつかの仕組みによってそれを補助しています。中でも最も一般的なものは「URLスキーム」です。基本的に、URLスキームはあるアプリから別のアプリに情報を伝達する仕組みです。例えば、あるアプリで「facetime://」から始まるURLを開いた場合、URLスキームによりビデオ通話アプリ「Face Time」が起動して通話を開始します。URLスキームを使用したこのようなショートカットは非常に便利ですが、アプリ間通信のために設計されたこの仕組みにはセキュリティ上の不備がありました。
本記事では、URLスキームを悪用したアカウントの侵害、請求詐欺、ポップアップ広告の表示といった攻撃の可能性について考察します。具体的には、中国の公式iOSアプリの中から、メッセージングおよびモバイル決済アプリ「WeChat」と買い物アプリ「Suning」を例として取り上げ攻撃シナリオを解説しました。WeChatやSuningと同様の機能を持つその他の多くのアプリも本記事で解説する攻撃に対して脆弱である可能性があります。トレンドマイクロは、そのようなアプリのベンダに通知を行い協働しました。特にWeChatの脆弱性については、弊社が運営する脆弱性発見・研究コミュニティ「Zero Day Initiative(ZDI)」に報告しています。
続きを読むアドウェアを利用しモバイル広告で収益を得ようとするサイバー犯罪者の動きについては7月16日のブログ記事でも報告しています。同様に、不正に広告を表示するモバイルマルウェアの新種である「Agent Smith(エージェント・スミス)」に関する調査結果を、セキュリティ企業「Check Point」が2019年7月10日に公表しています。この報告では、インド、サウジアラビア、パキスタン、バングラデシュ、イギリス、アメリカ合衆国、そしてオーストラリアを中心に、約2,500万台ものデバイスが感染したとされています。この「Agent Smith」はトレンドマイクロでは現在「AndroidOS_InfectionAds.HRXA」として検出するものであり、このマルウェアを含む攻撃キャンペーンについては「Operation Adonis」と命名し調査していたものでした。この命名は、この攻撃で使用された多くのマルウェアで使用された証明書に”Adonis”の文字列が含まれていたことに由来しています。このマルウェアはオペレーティングシステム(OS)内に存在するAndroidの脆弱性を利用し、インストール済のアプリをユーザに知られずに不正なバージョンに置き換えることでAndroidデバイスに感染します。このマルウェアはユーザのデバイスに金銭的利益を目的とする不正な広告を表示しますが、この他にも銀行口座情報の窃取や攻撃の対象となったユーザの監視など、より直接的な被害につながる攻撃に活用される可能性があると見られます。
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トレンドマイクロは2019年2月下旬、新種のバックドア型マルウェアを確認し、「SLUB」と名付けて3月14日の記事で解説しました。当時確認されたバージョンのSLUBは、VBScriptエンジンの脆弱性「CVE-2018-8174」を利用した水飲み場型攻撃で拡散し、リポジトリホスティングサービス「GitHub」とコミュニケーションプラットフォーム「Slack」を悪用してコマンド&コントロール(C&C)通信を行っていました。
2019年7月9日、新しいバージョンのSLUBが別のWebサイトを利用した水飲み場型攻撃によって拡散されていることが確認されました。この水飲み場型攻撃サイトは、Internet Explorer(IE)の遠隔からのコード実行(Remote Code Execution、RCE)脆弱性「CVE-2019-0752」を利用します。CVE-2019-0752はトレンドマイクロが運営する脆弱性発見・研究コミュニティ「Zero Day Initiative(ZDI)」によって発見された脆弱性で、2019年4月に修正プログラムが公開されています。今回の攻撃はCVE-2019-0752の利用が確認された初めての事例です。
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