この6月に入り、官公庁や市町村のWebページの「偽サイト」が検索上位に登場するなどの報告が相次ぎ、15日にはNISC(内閣サイバーセキュリティセンター)から注意喚起が発出される事態となりました。トレンドマイクロでこれら「偽サイト」について調査したところ、問題のサイトは「プロキシ回避システム(Proxy Avoidance Websites)」の一種であると判明しました。プロキシ回避システムを原因とする偽サイト騒動は過去から何度も繰り返されてきました。しかし、今回の事例に関する調査の中では過去事例と異なり、オリジナルのサイトにはないJavaScriptを挿入するといった不審点も確認されました。本記事ではこの調査について報告いたします。
続きを読むトレンドマイクロでは、2021年の1年間に確認した、日本国内における「標的型攻撃」に関しての分析を行いました。ネットワークに侵入する攻撃は、法人組織にとっては深刻な被害につながりかねない危険な存在です。またこの危険な攻撃の背後には、一般に「State-Sponsored」などと呼ばれる国家や政府との関連が推測される攻撃者の存在が見え隠れします。攻撃者は標的組織が持つセキュリティ上の弱点を見逃さず、彼らにとって最も適した攻撃手法を用いて侵入を試みます。

マルウェア「EMOTET」の活動に変化が見られました。新たにEMOTETの活動に悪用されたのはWindowsのショートカットリンク(.lnk)ファイルです。このようなショートカットリンクを悪用する手法は、標的型攻撃の中では少なくとも2016年の段階で確認されている手法ですが、EMOTETのマルウェアスパムで確認されたのは初めてです。本項執筆時点の4月28日現在、この不正ショートカットリンクを含むEMOTETスパムはまだ大量送信には至っていませんが、既に中心的な手口となってきているため、本記事をもってこのEMOTETの新たな手口への注意喚起といたします。

図:2022年4月22日以降に確認されたEMOTETスパムの例
添付ファイル内にショートカットリンク(LNKファイル)が含まれている
トレンドマイクロでは2021年1年間における国内外での脅威動向について分析を行いました。2021年、多くの企業や組織で急速なデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、サイバー犯罪者はコロナ禍の状況に便乗し、さまざまな不正活動や攻撃の機会を捉え、新旧さまざまな脅威をもたらしました。

携帯電話のテキストメッセージ(SMS)がサイバー犯罪への誘導経路として悪用される事例が続いています。トレンドマイクロでは、この2021年9月30日頃から、通信事業者を装ったSMSから誘導される偽サイトにより、AndroidおよびiPhoneの双方を標的として最終的にマルウェア感染させられる事例を確認しました。このマルウェアに感染した場合、大手通信事業者サイトの認証情報を窃取される危険性があります。 これまでに確認されてきた偽装SMSを発端にマルウェア感染を目的とする攻撃ではAndroid端末が対象となっていましたが、iPhoneについてもその対象とする攻撃は初めてと言えます。同様の攻撃に関しては一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)からも注意喚起が公開されており、注意が必要です。

図 1: 今回確認された不審SMSの例(実物を元に再構成)
続きを読むトレンドマイクロでは2021年上半期(1~6月)における国内外での脅威動向について分析を行いました。2020年から続く新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは2021年に入っても大きな影響を与え続けています。このコロナ禍の状況において起こっている「テレワーク推進」と「クラウド化」という組織ネットワークの変化の加速を、サイバー犯罪者は「利用」しているかのように見えます。
組織のネットワークへ侵入し気づかれぬように内部活動を行う標的型攻撃の手法は、ランサムウェア攻撃においても常套手段化しています。この6ヶ月の間に、ランサムウェアグループは米国の大手ガス供給会社を操業停止させ、米国東海岸の半分が燃料不足に陥るという事件が発生しました。また、他のランサムウェアの攻撃者は、二重恐喝の手口を用いて企業から100万ドルの支払いを得ました。ランサムウェアの甚大な被害を防ぐには、ランサムウェアを展開される前にネットワーク内で発生している不審な活動を可視化し、適切な対応を迅速に行う必要があります。

図:ランサムウェアの暴露サイト上で確認した暴露投稿とそのうちの日本企業関連投稿の件数推移
(トレンドマイクロ調べ)
トレンドマイクロでは、2020年の1年間に確認した、日本国内における「標的型攻撃」に関しての分析を行いました。組織のネットワークに侵入する標的型攻撃は、法人組織にとっては深刻な被害につながりかねない危険な存在です。またこの危険な攻撃の背後には、一般に「State-Sponsored」などと呼ばれる国家や政府との関連が推測される攻撃者の存在が見え隠れします。

図:ネットワークに侵入する標的型攻撃の攻撃段階概念図
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