企業のオンラインインフラストラクチャが、分散化や、クラウド、モバイル、モノのインターネット(Internet of Things、IoT)といった技術の導入によって複雑化するにつれ、修正プログラム(パッチ)管理はさらに時間とリソースを消費する作業になりました。しかしながら、パッチの適用の先送りは、セキュリティ上のリスクをもたらす場合があります。消費者信用情報会社「Equifax」で発生した2017年の情報漏えいは、パッチの適用を先送りした結果セキュリティがどれほど脅威に晒されるのかを示す具体的な事例です。何百万という顧客の個人情報を露出してしまう結果となったこの事例は、最終的にはEquifaxがパッチを適用していなかったWebアプリケーションの脆弱性に起因していました。 この脅威が引き起こした状況が落ち着いた際、Equifaxは、英国の個人情報保護監督機関(Information Commissioner’s Office 、ICO)によって課された50万ポンド(2019年8月7日時点で約6千万円)の罰金に加え、最大4億3,900万ドル(2019年8月7日時点で約465億円)の経済的損失があったとの見積もりを発表しました。
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AppleはiOSのサンドボックス機構を使用して各アプリケーションがアクセス可能なリソースを制限し、アプリケーションのセキュリティとプライバシーを管理しています。この仕組みは、あるアプリが侵害された際に被害の範囲を制限するためのもので、App Storeを通して配布されているすべてのアプリによって採用されています。
このようなアクセス制御はアプリ間の通信を困難にしますが、Appleは慎重に設計されたいくつかの仕組みによってそれを補助しています。中でも最も一般的なものは「URLスキーム」です。基本的に、URLスキームはあるアプリから別のアプリに情報を伝達する仕組みです。例えば、あるアプリで「facetime://」から始まるURLを開いた場合、URLスキームによりビデオ通話アプリ「Face Time」が起動して通話を開始します。URLスキームを使用したこのようなショートカットは非常に便利ですが、アプリ間通信のために設計されたこの仕組みにはセキュリティ上の不備がありました。
本記事では、URLスキームを悪用したアカウントの侵害、請求詐欺、ポップアップ広告の表示といった攻撃の可能性について考察します。具体的には、中国の公式iOSアプリの中から、メッセージングおよびモバイル決済アプリ「WeChat」と買い物アプリ「Suning」を例として取り上げ攻撃シナリオを解説しました。WeChatやSuningと同様の機能を持つその他の多くのアプリも本記事で解説する攻撃に対して脆弱である可能性があります。トレンドマイクロは、そのようなアプリのベンダに通知を行い協働しました。特にWeChatの脆弱性については、弊社が運営する脆弱性発見・研究コミュニティ「Zero Day Initiative(ZDI)」に報告しています。
続きを読むアドウェアを利用しモバイル広告で収益を得ようとするサイバー犯罪者の動きについては7月16日のブログ記事でも報告しています。同様に、不正に広告を表示するモバイルマルウェアの新種である「Agent Smith(エージェント・スミス)」に関する調査結果を、セキュリティ企業「Check Point」が2019年7月10日に公表しています。この報告では、インド、サウジアラビア、パキスタン、バングラデシュ、イギリス、アメリカ合衆国、そしてオーストラリアを中心に、約2,500万台ものデバイスが感染したとされています。この「Agent Smith」はトレンドマイクロでは現在「AndroidOS_InfectionAds.HRXA」として検出するものであり、このマルウェアを含む攻撃キャンペーンについては「Operation Adonis」と命名し調査していたものでした。この命名は、この攻撃で使用された多くのマルウェアで使用された証明書に”Adonis”の文字列が含まれていたことに由来しています。このマルウェアはオペレーティングシステム(OS)内に存在するAndroidの脆弱性を利用し、インストール済のアプリをユーザに知られずに不正なバージョンに置き換えることでAndroidデバイスに感染します。このマルウェアはユーザのデバイスに金銭的利益を目的とする不正な広告を表示しますが、この他にも銀行口座情報の窃取や攻撃の対象となったユーザの監視など、より直接的な被害につながる攻撃に活用される可能性があると見られます。
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トレンドマイクロは、2018年のモバイルの脅威動向において、オンライン銀行詐欺ツール(バンキングトロジャン)が検出回避とさらなる収益化を目的として戦略と手法を多様化していることを報告しました。Android端末向け不正アプリ「Anubis」の場合、通常のバンキングトロジャンでは見られないようなその他の不正活動のための機能も備えています。初めてAnubisが確認されて以来、サイバー諜報活動を目的とした使用から、情報窃取とランサムウェアのような機能を組み合わせたバンキングマルウェアへの変化まで、Anubisにはいくつかの変更が施されました。2019年1月中旬には、サンドボックス解析を回避するためのモーションセンサの利用や個人情報(Personally Identifiable Information、PII)を窃取するオーバーレイ画面など、Anubisが多数の手法を使用したことが確認されました。
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トレンドマイクロが設置したハニーポットのひとつが、Perlベースのバックドアコンポーネントをバンドルした仮想通貨「Monero」発掘ツールを含むボット型マルウェアを拡散するURLを確認しました。採用された技術は、ハッキング集団「Outlaw」の以前の活動で使用された技術とほぼ同じであるため、これはとても興味深い発見であると弊社は認識しています。
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モノのインターネット(IoT、internet of things)は、一般家庭や工場と同様に企業の在り方をも変えつつあります。職場における従業員が個人的に所有するIoTデバイスの存在とその利用は、IoTがどのようにして企業や法人に変化を促したかを最も明確に示しています。
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宅配荷物の不在通知を偽装するSMSの攻撃は継続してその手口を変化させています。前回3月の記事では新たに携帯電話事業者Webページを偽装した手口をお伝えしましたが、この4月にはまた別の事業者のWebページを偽装する手口にシフトしてきました。この不正アプリ拡散をねらう偽装SMSの攻撃では、去年前半にも活発に詐称する業者を変えていましたが今後も同様の変化に注意が必要です。
続きを読むIoTデバイスを狙うマルウェア「Bashlite」の更新が確認されました。Bashliteは、「分散型サービス拒否(distributed denial-of-service、DDoS)攻撃」のために「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」デバイスを感染させてボットネットを構築するマルウェアです。今回確認されたBashliteは、ペネトレーションテストのためのフレームワーク「Metasploit」のモジュールを使用することで、Universal Plug and Play(UPnP)APIを有効化したスマートホーム向けIoTデバイス「WeMo」を狙います。
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