トレンドマイクロは、2018 年 5 月 23 日のブログ記事で報告した、名前の無いサイバー諜報活動集団についてさらなる調査を実施し、その他のサイバー諜報活動集団「Confucius」、「Patchwork」、および「Bahamut」との関連について明らかにしました。本記事での解説に際し、弊社はこの集団を「Urpage」と名付けました。
続きを読むトレンドマイクロは、マルウェア解析を専門とするグループ「IssueMakersLab」と共同で、韓国の法人組織を標的とするサプライチェーン攻撃「Red Signature 作戦」に関する調査を行いました。サプライチェーン攻撃とは、ソフトウェアもしくはハードウェアのライフサイクルを侵害する攻撃です。ソフトウェアの場合、不正プログラムが混入した正規ソフトによってその利用者が感染被害に遭うというような事例が典型的です。本記事で解説する攻撃は、2018 年 7 月下旬に確認され、韓国の報道機関によって 8 月 6 日に報告されました。
Red Signature 作戦の攻撃者は、まず初めに遠隔支援ツールプロバイダの電子証明書を窃取してマルウェアに署名し、攻撃者が管理するサーバにアップロードします。次に、遠隔支援ツールの更新サーバを侵害し、遠隔支援ツールの更新プロセスを通して攻撃者の関心を引くユーザに「9002 RAT」と呼ばれる「Remote Access Tool(RAT)」を送り込みます。侵害した更新サーバは、標的企業の IP アドレスの範囲からアクセスされた場合にのみ不正ファイルを送信するように設定されています。
9002 RAT は、Microsoft Internet Information Services(IIS)6.0 の WebDAV コンポーネントの脆弱性「CVE-2017-7269」を利用する脆弱性攻撃ツールや、SQL データベースからパスワードを出力するツールを追加でインストールします。これらのツールの機能から、攻撃者は標的企業の Web サーバおよびデータベースに保存された情報を狙っていることがうかがえます。
![「Red Signature 作戦」の攻撃の流れ](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2018/08/fig1-operation-red-signiture-attack-chain.png)
図 1:「Red Signature 作戦」の攻撃の流れ
トレンドマイクロは、「タイポスクワッティング(Typosquatting)」と呼ばれる古い手法を利用し、意図していない Web サイトにユーザを誘導する新しい攻撃を確認しました。タイポスクワッティングは、人気のある Web サイトに類似したドメインを利用し、タイプミスによって攻撃者が管理するドメインにアクセスしたユーザを不正な Web サイトに誘導する手法です。この手法は、2000 年代前半からしばしば利用されているため、多くのユーザは既に注意を払っているかもしれません。しかし、新たな攻撃が確認されているという事実は、タイポスクワッティングが、古い手法であるにもかかわらず依然として有効であることを示しています。
今回確認された攻撃は、脅威が検出されたと警告する Web サイトにMac ユーザを誘導し、「Potentially Unwanted Application(迷惑アプリ、PUA)」をダウンロードさせるというものでした。
![迷惑アプリをインストールさせる流れ](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2018/08/20180803_fig1-infection-chain.png)
図 1:迷惑アプリをインストールさせる流れ
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Android 端末向け不正アプリ「FAKESPY(フェイクスパイ)」(「ANDROIDOS_FAKESPY.HRX」として検出)が確認されました。不正アプリの拡散には、サードパーティのアプリストアを利用する手法が一般的ですが、「CPUMINER」、「BankBot」、「MilkyDoor」のように、正規アプリストアである Google Play や App Store で不正アプリが公開されていた事例も確認されています。しかし、FAKESPY は、テキストメッセージ(ショートメッセージ、SMS)を利用して対象を不正な Web ページに誘導する「スミッシング(SMS+Phishing)」によって拡散します。有名企業からのメッセージを偽装するこの手法は 1 月 15 日および 2 月 2 日の本ブログでお伝えした不正アプリの攻撃が継続しているものと言えます。
続きを読む次世代の移動通信システムとして大々的に宣伝されている 5G は、すでに高速なネットワーク通信を提供している 3G や 4G のような現行の移動通信システムよりも、さらに高い信頼性と高速な通信を可能にします。5G の通信速度は数ギガビット毎秒(Gbps)程度、平均ダウンロード速度は 1 Gbps 程度になると見込まれています。従来の通信システムが世代を重ねながら改善を続けて来たことは、スマートフォンやその他の広く使用されているモバイルネットワーク機器の利便性の向上からも明らかですが、大容量データの送信が可能な 5G は、それらに加え「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」デバイスにも恩恵をもたらすでしょう。
続きを読む2018 年 3 月上旬以降、日本、韓国、中国、台湾、そして香港を対象とする新しいネットワーク攻撃が確認されています。これは、DNS キャッシュポイズニングまたは DNS スプーフィングと呼ばれる攻撃で、総当たり攻撃や辞書攻撃のような手法を利用して DNS サーバに侵入し、設定を書き換えたものと考えられます。変更された DNS 設定によって誘導されるドメインは、Android 端末向け不正アプリ「XLOADER(エックスローダ)」(「ANDROIDOS_XLOADER.HRX」として検出)の拡散およびインストールに利用されています。
XLOADER は、DNS 設定の変更によって誘導されたドメインからユーザの端末に送信される通知によって拡散し、正規の Facebook アプリまたは Chrome アプリに偽装しています。この不正アプリは、個人情報や金融機関情報、インストールされているアプリ一覧情報などを窃取します。また、感染端末を乗っ取って SMS を送信したり、管理者権限を利用して設定の変更を防いだり、活動を継続したりすることが可能です。
![偽の Facebook アプリおよび Chrome アプリ(赤枠)](/wp-content/uploads/2018/04/20180424comment01.jpg)
図 1:偽の Facebook アプリおよび Chrome アプリ(赤枠)
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昨日お知らせしたルータの DNS 設定変更から不正アプリをダウンロードさせる攻撃について、トレンドマイクロでは新たに不正アプリのダウンロードサイトが準備されていることを確認しました。前回記事では確認されたダウンロードサイトは閉鎖されており既に危険はないことをお伝えしておりましたが、攻撃者にはまだこの攻撃を終了させる気は無く、変化と共に継続させていく意図であるようです。
![新たに確認された不正サイトに Android OS でアクセスした場合の表示例](/wp-content/uploads/2018/03/20180330comment01.png
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図:新たに確認された不正サイトに Android OS でアクセスした場合の表示例
トレンドマイクロでは、日夜多くのサイバー攻撃を監視しています。その監視の中で、この 3 月中旬ころから、ルータを侵害して DNS を書き換え、ルータ配下の端末を不正サイトへ誘導して Android 向け不正アプリを強制的にダウンロードさせる攻撃が国内で発生していることを確認しました。トレンドマイクロとしては現時点で侵害されたルータ自体の調査が行えておらず、攻撃手法の全貌については確認できておりませんが、当社として確認できている実際の被害について本ブログ記事において注意喚起します。
![Android OSで今回確認された攻撃で誘導される不正サイトにアクセスした場合の表示例](/wp-content/uploads/2018/03/20180329comment01.png)
図:Android OS で今回確認された攻撃で誘導される不正サイトにアクセスした場合の表示例
Android 端末向け不正アプリ「AndroRAT」(「ANDROIDOS_ANDRORAT.HRXC」として検出)の新しい亜種が確認されました。この不正アプリは「Remote Access Tool(RAT)」で、サイレントインストール、シェルコマンドの実行、Wi-Fi パスワードの収集、画面キャプチャのような不正活動のために、脆弱性を利用して端末をルート化します。この AndroRAT の亜種は、2016 年に公表された脆弱性「CVE-2015-1805」を利用し、権限を必要とするさまざまな不正活動を実行します。CVE-2015-1805 は Marshmallow より前の Android バージョンに影響を与えます。
続きを読むトレンドマイクロは、2017 年末から、Android 端末ユーザを標的とする諜報活動を確認してきました。今回報告する攻撃では、インドのユーザを狙った Android 端末向け不正アプリが利用されており、その背後には、以前政府職員を標的とした攻撃で確認されたハッカー集団がいると考えられます。弊社は当該アプリを「PORIEWSPY(ポリュースパイ)」と名付け、「ANDROIDOS_PORIEWSPY.HRX」として検出対応しています。共通のコマンド&コントロール(C&C)サーバを利用していることから、同集団は、「DroidJack/SandroRAT」(「ANDROIDOS_SANRAT.A」として検出)を元に作成された不正アプリも利用してると考えられます。DroidJackは感染した Android 端末を完全に操作することのできる「Remote Access Tool(RAT)」です。
これらの不正アプリの背後にいる攻撃者は、2016 年に報告されたサイバー諜報活動集団と関連しているかもしれませんが、この集団が以前の活動とは関係の無い別の攻撃を開始している可能性もあります。
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