「Bitcoin(ビットコイン、BTC)」のような仮想通貨の普及に従い、それらを悪用した脅威も確認されています。本記事では、仮想通貨発掘マルウェアの登場による影響とその対策について詳細に解説します。
続きを読むトレンドマイクロでは、日本にも影響が確認されている不正広告キャンペーン「AdGholas(アドゴラス)」に対し、監視と調査を継続しています。そして今回、「AdGholas」関連の攻撃でのみ利用が確認されている脆弱性攻撃ツール(エクスプロイトキット)「Astrum Exploit Kit (Astrum EK)」が不正トラフィックの検出を困難化させるため「Hyper Text Transfer Protocol Secure (HTTPS)」を利用していることを突き止めました。ブラウザとアプリケーション間の接続が「Transport Layer Security(TLS)」で暗号化される HTTPS は、ネットバンキングやオンラインショッピングなどの機密性が必要とされる通信を保護するために使用されていますが、それを悪用した活動と言えます。「Astrum EK」については「ディフィー・ヘルマン鍵交換(DH鍵交換)」を利用し、監視ツールあるいはセキュリティリサーチャによる不正ネットワークトラフィックの解析を阻止する手口が 2017年5月に確認されており、さらなる「改良」が加えられたものです。
続きを読む「RAMNIT(ラムニット)」は、以前からネットバンキングの認証情報を詐取し最終的に不正送金を行う「オンライン銀行詐欺ツール(バンキングトロジャン)」として知られています。これまで RAMNIT は日本ではなく、海外のネットバンキングを標的としてきました。しかし、2017年に入り日本を標的とする動きをみせており、これまでの調査では国内クレジットカード会社 12社のサイトが攻撃対象となっていることが確認されました。海外で既に大きな脅威となっている不正プログラムが、日本にも攻撃の矛先を向けてきた事例として注意が必要です。
続きを読む「PowerShell」 は Microsoft が 開発した多目的のコマンドラインシェルおよびスクリプト言語です。これを利用して、さまざまなプログラムや Windows OS の標準機能が実行できます。目立たないようにバックグラウンドで動作させ、実行ファイルを利用せずに PC の情報を取得することが可能です。サイバー犯罪者にとって、このような PowerShell の特徴は魅力的です。PowerShell を利用した注目すべき事例としては、2016 年 3 月に確認された暗号化型ランサムウェア「PowerWare」や、同年4月に確認されたマルウェア「Fareit」の亜種があります。サイバー犯罪における PowerShell の利用は増加傾向にあるため、その対策についてもセキュリティ管理者の間で周知が進んでいます。
しかし、サイバー犯罪者は Windows ショートカットファイル(「.LNK」拡張子)から PowerShell スクリプトを実行する手法を駆使し、セキュリティ管理者の対策より一歩先を行っているようです。LNK ファイルは通常デスクトップやスタートメニューのショートカットとして使用されますが、早くも 2013 年には LNK ファイルを悪用した攻撃が確認 されています。2017 年初旬には、最終的に暗号化型ランサムウェア「Locky」をダウンロードするトロイの木馬型マルウェアがLNKファイルを偽装するために二重に ZIP 圧縮したファイルを利用していたことを確認しています。
続きを読む暗号化型ランサムウェア「CERBER(トレンドマイクロでは「RANSOM_CERBER」ファミリとして検出対応)」は、初めて検出報告が確認されてから 1年が経過し、いまや最も活発なランサムウェアファミリとして周知されています。「CERBER」は、2016年3月に初めてロシアのアンダーグラウンド市場で確認されて以来、ファイル構造、手法、各種機能など、サイバー犯罪者に何度も更新されており、中には「CERBER 4.1.5」など、わずか 1日で更新されたケースもありました。その勢いは、「LOCKY(「RANSOM_LOCKY」ファミリとして検出対応)」など、他のランサムウェアファミリの影が薄くなる程度に及びました。
「CERBER」は、入手しやすさの点で他の暗号化型ランサムウェアとの差別化を図りました。サイバー犯罪者は、いち早く「Ransomware as Service(サービスとしてランサムウェア、RaaS)」のビジネスモデルを導入し、購入可能なランサムウェアとしてサイバー犯罪者に周知させました。こうして CERBERの背後にいるサイバー犯罪者は、被害者が支払った身代金の分け前から利益を得ることになり、その割合は最大で身代金の 40%にも及びました。こうした努力の結果、いまや「CERBER」はサイバー犯罪の「ドル箱」となり、2016年だけで実に 20万米ドル(2017年4月18日のレートで約2,218万4,000円)を稼いだと報じられています。
こうして大きな利益をもたらし、かつカスタマイズ可能であることから、「CERBER」のさまざまなバージョンが登場したのも不思議ではありません。弊社のクラウド型セキュリティ基盤「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」で「CERBER」の影響範囲を確認したところ、企業および個人ユーザ双方において圧倒的に米国へ集中していました。業界別では、教育、製造、公共、テクノロジー、保健医療、エネルギー、運送などが影響を受けていることを確認しています。
続きを読む攻撃者集団「Pawn Storm」は、「Sednit5」や「Fancy Bear」、「APT28」、「Sofacy」、「STRONTIUM8」などのさまざまな名称で呼ばれていますが、実際には、経済および政治的な諜報活動を目的としたサイバー攻撃を実行し、政府機関や民間組織を標的にして機密情報を窃取してきた同一のサイバー攻撃者集団を指します。Pawn Stormは、情報窃取型マルウェア「SEDNIT」に誘導する標的型メールや脆弱性を突く攻撃手法、そして特に認証情報を窃取するフィッシング攻撃などを効果的に組み合わせ、同じ標的に対してさまざまな角度から攻撃を仕掛けることで攻撃目標を達成してきました。
続きを読むトレンドマイクロは、2014 年に初めて標的型サイバー攻撃「Pawn Storm作戦」について報告して以来、本ブログ上でこの攻撃の背後にいるサイバー犯罪集団「Pawn Storm」に関連する事例を報告してきました。Pawn Storm は 2004 年以降サイバー諜報活動を積極的に実行している集団です。この集団は標的から情報を窃取するためにさまざまな手法を用いることが確認されており、特に、認証情報を狙ったフィッシング攻撃でよく知られています。2016 年には、米国の「Democratic National Committee(民主党全国委員会、DNC)」、ドイツの政党「キリスト教民主同盟(CDU)」、トルコ政府および議会、モンテネグロ議会、「World Anti-Doping Agency(世界アンチ・ドーピング機構、WADA)」、カタールの衛星テレビ局「Al Jazeera(アルジャジーラ)」など、多くの組織に対してフィッシング攻撃が実行されました。2015 年から 2016 年にかけては、無料メールを利用する重要人物が標的となりました。
続きを読むトレンドマイクロでは、2016年に確認した日本国内における「標的型サイバー攻撃」に関しての分析を行いました。この分析では標的型サイバー攻撃を「初期潜入」、「端末制御」までの「侵入時活動」と、「情報探索」から「情報送出」に至るまでの「内部活動」の2段階にわけて分析を行っていますが、表面上は落ち着いているかに見える攻撃は、その内容を巧妙化、高度化させて継続している様が浮かび上がってきました。
![図1:標的型サイバー攻撃の攻撃段階概念図](/wp-content/uploads/2017/05/20170508comment01.jpg)
図1:標的型サイバー攻撃の攻撃段階概念図
標的型サイバー攻撃キャンペーン「Pawn Storm作戦」は、経済および政治的な諜報活動を目的としたサイバー攻撃を実行し、政府機関や民間組織を標的にして機密情報を窃取してきました。トレンドマイクロは、2017年4月25日、リサーチペーパー「Two Years of Pawn Storm」(英語)を公開しました。「APT28」、「Fancy Bear」、「STRONTIUM」などでも知られる攻撃者集団「Pawn Storm」の攻撃範囲と規模について詳細を明らかにするとともに、彼らの主な目的であるサイバー諜報活動の手法を解説しています。弊社は、Pawn Storm作戦の活動を7年前から調査してきました。本ペーパーでは、過去2年の間に Pawn Stormが活動の焦点をサイバープロパガンダへと移行し、また、彼らの標的型サイバー攻撃が2016年には4倍に増加した経緯について報告しています。
続きを読むMicrosoftは、2017年4月14日(米国時間)、「Shadow Brokers」と呼ばれるハッカー集団がハッキングツールや攻撃コード(エクスプロイトコード)を公開したのを受けて、同社による調査結果を公表しました。公になったツールのほとんどに既に対処済みであることを明らかにしました。
Shadow Brokers が今回公開したハッキングツールやエクスプロイトコードには、Microsoft Windows および Windows Server を狙うものが含まれていました。また、一部報道によると、世界規模で使用されているバンキングシステムを狙ったツールも確認されました。今回公開されたツール等が利用された場合、オペレーティングシステム(OS)ではWindowsだけでなくLinuxへも影響し、攻撃者によるネットワークへの侵入やファイアウォールの突破の恐れがあります。
このハッカー集団は、2016年8月にサイバー攻撃集団「Equation」から入手したマルウェアや攻撃ツールを、インターネット上でオークション形式で販売しようと画策しました。しかし、失敗に終わり、今年1月に活動の停止を宣言すると同時に、Windowsを狙うハッキングツールの公開もしていました。
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