2011年はAndroid OSの飛躍の年となりました。それと同時に、Android OSを搭載したモバイル端末(以下、Android端末)を標的とした不正プログラムが暗躍した年でもありました。本ブログでも年間を通じて紹介していたとおり、Android端末のユーザ数が増加するにつれて、サイバー犯罪者は、Android端末を狙う不正プログラムを利用してAndroidユーザから利益を得ようとしていたのです。
続きを読む米国時間2021年12月9日にJava向けのログ出力ライブラリ「Apache Log4j」に潜在するリモートコード実行(RCE)の脆弱性情報が公開されました。以来、数多くの記事で取り上げられたことは、「Log4Shell」と名付けられたこの脆弱性の影響力の大きさを物語っています。Log4jは、コード変更なく簡単にログを提供することから、多くのプログラムに用いられています。これは、攻撃対象領域が広範囲に及ぶことを意味すると同時に、Amazon社、Apple社、Cloudflare社、Google社、Tencent社、Twitter社など、Log4jを用いる多くの有名企業が脆弱性を有する標的組織として狙われる可能性があることを示唆しています。また、Log4jを用いる組み込み機器にまで影響が及ぶため、攻撃対象領域がさらに拡大しています。本ブログ記事では、車載デバイスや車両プロパティの中でもコネクテッドカーに影響するものとして、特に電気自動車用充電器、車載インフォテインメント(IVI)システム、自動車用デジタルキーの3つに焦点を当てます。
続きを読む「APT36(別称:Earth Karkaddan)」は、政治的な動機により標的型サイバー攻撃を行う犯罪者グループであり、トレンドマイクロは以前にも同グループがインド軍高官や在外公館をターゲットにしていたことを観測し、本ブログで解説しました。このグループ(C-Major作戦、ProjectM、Mythic Leopard、Transparent Tribeとも呼称される)は、ソーシャルエンジニアリングの手法やフィッシングメールを介した誘導手口をエントリポイント(侵入口)として用いることで知られており、侵入後、感染端末内に「Crimson Remote Access Trojan(RAT)」を展開して情報を窃取します。
トレンドマイクロは2021年後半に、Earth Karkaddanグループが好んで用いたWindows端末用マルウェア「Crimson RAT」と設計が酷似しているAndroid端末用マルウェア「CapraRAT」を同グループが使用していることを突き止めました。これらのツールには、機能名、コマンド、性能などで非常に興味深い共通点があり、それらの詳細については、トレンドマイクロの技術論文「Earth Karkaddan APT(英語)」で取り上げています。
今回実施した調査は、2020年1月~2021年9月までに収集されたトレンドマイクロのクラウド型セキュリティ技術基盤「Smart Protection Network(SPN)」のデータに基づいています。
続きを読むトレンドマイクロでは最近、クラウド上での暗号資産(旧仮想通貨)マイニングアプリを装ったモバイル詐欺アプリを8件検出しました※。アプリの説明によると、ユーザはクラウド上でのマイニングに投資し、暗号資産を獲得することができるとされています。しかし、実際にアプリを解析してみると、このアプリはマイニング機能向上と称して広告へと誘導し、月額平均15USドル程度の定期購読サービスに加入させるだけであることが分かりました。弊社が調査結果をGoogleに報告すると、当該アプリはPlay Storeから直ちに削除されました。
※弊社ではAndroidOS_FakeMinerPay および AndroidOS_FakeMinerAとして検出します。
続きを読むJoker(別名:Bread)は、Android端末を継続的に狙う最も古くから存在するマルウェアファミリの1つです。Jokerが登場した2017年から2020年初頭にかけて、Googleは1,700個以上の感染アプリをPlay storeから削除しています。またJokerを背後で操る攻撃者は2020年後半に、セキュリティ企業「Zscaler」社が発見したような検体をGoogle Play ストアに追加でアップロードしていたことがわかっています。
トレンドマイクロが実施した以前の調査では、GitHubを利用してペイロードを隠蔽するJokerの亜種を発見しました。このときに変更されたマルウェア内のコードは回避技術として機能します。攻撃者はGitHubやリポジトリを悪用することで、Googleが不正アプリの取り締まりを一貫して実施しているにもかかわらず、Jokerの新たな亜種をGoogle Play ストアに忍び込ませることに成功しています。
これらの不正アプリは以前の検体と類似していることから、単独の攻撃活動だけでなく攻撃キャンペーン全体の一部としても利用されているとトレンドマイクロは推測しています。
![図1:Jokerに関連する新たな不正アプリの一部](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2021/06/図1:Jokerに関連する新たな不正アプリの一部-1024x390.png)