トレンドマイクロが提供する製品「Trend Micro XDR™ Add-on: Apex One SaaS」は、攻撃を初期段階で検出し、発生中のインシデントを視覚化するために必要な可視性を提供します。これは企業のネットワーク防御の維持と解析を行うセキュリティ担当者、いわゆる「ブルーチーム」にとって、非常に有益な情報となります。弊社の「Trend Micro ™ Managed XDR 」チーム(以下XDRチーム)が最近対処したあるインシデントでは、悪意を持った攻撃者が特定の手法を攻撃に組み込んだことが明らかになりました。この攻撃手法は、ブルーチームとセキュリティリサーチャにとって、一連のイベントの解析がより困難化する複雑なものでした。本記事ではXDRチームが特定した複雑な攻撃手法と、特定に至った調査内容について解説します。 (さらに…)
続きを読む「Tropic Trooper」は、2011年から活動しているとされるサイバー攻撃グループです。これまでに、台湾、フィリピン、香港における政府および軍事機関、ヘルスケア、輸送、ハイテク産業を攻撃対象にしてきたものと推測されています。トレンドマイクロではこのグループの活動として、2015年に脆弱性を利用するファイルを添付した標的型メール(スピアフィッシングメール)の攻撃を、また2018年にはツールに新機能を追加するなどの攻撃手法の変化を報告してまいりました。そして最近確認されたTropic Trooperの攻撃活動では、USBストレージ経由で台湾およびフィリピンの軍事機関のエアギャップ環境、つまり他のネットワークから物理的に隔離されている閉域ネットワークへの侵入を狙う活動を把握しました。また同時に、政府機関、軍事病院、さらに国立銀行を標的とした攻撃も確認できました。この攻撃でTropic Trooperは、特定の標的環境において自身の活動を隠蔽しつつさまざまなコマンドを実行し、USBストレージから重要な情報を窃取するマルウェア「USBferry」を活用します。ちなみにUSBferryの名称は、調査の際に入手されたサンプルの名前からとられています。トレンドマイクロの調査では、おとりとなる偽の実行ファイルとUSBferryを利用して情報を収集する活動を確認しています。
![](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/図1:USBferry攻撃のシナリオ例-1024x712.jpg)
図1:USBferry攻撃のシナリオ例
続きを読むトレンドマイクロは2019年9月、当時はまだ特定されていなかったエクスプロイトキットを使用するキャンペーンを確認し、「Operation Overtrap(オーバートラップ作戦)」と名付けました。その後の調査により、日本国内のネットバンキング利用者のみを狙う攻撃であり、下図のような3方向の攻撃から最終的に国内金融機関のネットバンキング利用者の認証情報を詐取することを確認しました。特に2019年9月以降は、不正広告(マルバタイジング)経由でエクスプロイトキットと呼ばれる脆弱性攻撃ツールへ誘導する攻撃を主に確認しています。
- URLリンクを含んだメールにより、ネットバンキングのWebサイトを偽装したフィッシングページへ利用者を誘導
- URLリンクを含んだメールにより、不正サイトへ誘導し、ダウンロードされるファイル(実はマルウェアの実行ファイル)を実行させる
- 不正広告経由でエクスプロイトキットを使用しマルウェアを配信
本ブログ記事では、トレンドマイクロがオーバートラップ作戦のキャンペーンを確認した経緯とともに、攻撃に利用された新しいバンキングトロジャン(オンライン銀行詐欺ツール)「Cinobi(シノビ)」(トレンドマイクロでは「TrojanSpy.Win32.CINOBI.A」などで検出)について解説します。 (さらに…)
続きを読む「ゼロデイ攻撃」は、その時点ではまだ修正プログラム(パッチ)が公開されていない脆弱性を利用するサイバー攻撃です。つまり、その時点では根本的な解決方法がない状態での攻撃ということであり、企業組織は、ゼロデイ攻撃によって多大な影響を受ける可能性があります。多くの場合、パッチが公開されるまでは、セキュリティ上の欠陥を悪用しようとするサイバー犯罪者と、セキュリティ上の欠陥を修正するためにパッチを開発するソフトウェアベンダあるいは開発者間での競争劇となります。
本ブログ記事は、ゼロデイ脆弱性について企業組織が知っておくべきこと、つまり、ゼロデイ脆弱性とは何か、そして、ゼロデイ脆弱性がどのように悪用されるかについて詳述します。企業組織はゼロデイ脆弱性について知り置くことで、ゼロデイ脆弱性が悪用されるリスクや脅威を軽減させるための対策につなげることができます。
続きを読むトレンドマイクロでは2019年における国内外での脅威動向について分析を行いました。特に国内での脅威を振り返った場合、個人利用者が直接の被害を受ける攻撃としては、9月以降に顕著化した国内ネットバンキングのワンタイムパスワード突破を狙うフィッシング攻撃に加え、利用者のカード情報詐取を狙うECサイト改ざんの攻撃などが挙げられます。また、特に法人組織に被害を与える攻撃として、2019年前半には法人利用者におけるランサムウェア被害が顕在化しました。そして、10月以降には、メール経由で拡散する「EMOTET」の攻撃が、最も大きな脅威となりました。これらの攻撃の中からは「人の弱点を利用し常識を覆す攻撃」と「高度な攻撃手法の一般化」が見られています。
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