トレンドマイクロでは、2021年に入り新たに登場したランサムウェア「Cring(クリング)」の被害が国内で拡大していることを確認しました。トレンドマイクロが2021年1~4月の間にインシデント対応を支援したランサムウェア被害事例のうち、およそ7割が「Cring」によるものでした。
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図:ランサムウェア「Cring」の身代金要求文(ランサムノート)の例
続きを読む最終更新日:2021年5月17日 当初公開日:2021年5月13日
※当初公開日以降の新たな展開および追加情報に基づき、本文および「MITRE ATT&CK」の表を更新
※ トレンドマイクロでは、2021年5月21日(金)14時より本件の緊急ウェビナーを実施します。詳細はこちらをご覧ください。
2021年5月7日、ランサムウェア「DARKSIDE」の攻撃により、米国東海岸における燃料供給の約半分を担うColonial Pipeline社が操業停止に追い込まれました。これにより、ガソリン、ディーゼル、家庭用暖房油、ジェット燃料、軍需品などの貯蔵庫が大きな影響を受け、連邦自動車運送業者安全局(FMCSA)は、不足分を補うため18の州で緊急事態を宣言しました。攻撃に伴う操業停止からすでに5日が経過しましたが、同社では、現在もフル操業を再開できない状態が続いています。アトランタ市では30%のガソリンスタンドでガソリン不足が発生しており、他の都市でも同じような状況となっています。必要なサービスへの供給を維持するため、政府は買いだめをしないようとの勧告を出しています。
トレンドマイクロリサーチは、ランサムウェア「DARKSIDE」の検体を数十件確認し、このランサムウェアの挙動や、標的とされた企業や組織について調査しました。
トレンドマイクロは、台湾の政府機関、研究機関、大学など複数の組織をターゲットとする新しいキャンペーンを確認しました。2019年5月から開始していたこのキャンペーンは、台湾で広く利用されているWebメールのシステムにJavaScriptのバックドアを設置し対象組織のメールを窃取していました。過去に確認されている攻撃グループとの明確な関連性がないことから、トレンドマイクロはこれを実施した攻撃者を 「Earth Wendigo(アース ウェンディゴ)」と名付けました。標的型攻撃においては、台湾で確認された攻撃手法がその後に日本で確認されることも多く、国内利用者も注視すべき事例と言えます。
マルウェアキャンペーンの背後に潜む犯罪組織の正体を見極めるのは難しい作業です。サイバー犯罪者は標的であるユーザや企業を混乱に陥れたり、システムやネットワーク環境に危害を加えたりするために設計したソフトウェアに自身の正体が露呈するような痕跡を残すことはめったにありません。しかし、識別のカギとなる情報を既知の情報源と比較することで、そのキャンペーンが特定のサイバー犯罪集団によって実行された可能性が高いと判断することができます。これは犯罪組織が長年にわたり活動を継続し比較対象となる痕跡を多く残している場合、さらに信憑性が高くなります。トレンドマイクロが発見し「Operation Earth Kitsune」と名付けた標的型攻撃キャンペーンについてその「TTPs(=Tactics, Techniques and Procedures:戦術、技術、手順)」に関する詳細解析の結果をホワイトペーパー(英語)にまとめて公開し、本ブログでも概要について報告しました。このキャンペーンに関与した2種の新たなスパイ活動を行うバックドア型マルウェアを拡散する水飲み場型攻撃の技術的な詳細解析を行う中で、韓国を主な標的とすることで知られるサイバー犯罪集団「APT37(別名:Reaper、Group 123、ScaCruftなど)」に起因した別のマルウェアとの顕著な類似性を発見しました。
続きを読むサイバー犯罪者は、マルウェアやエクスプロイトキットなどアンダーグラウンドで日常的に取引される商品に加えて、すべてのサイバー犯罪活動を支える安定したホスティングインフラを維持することにも注力しています。これらのインフラは、サイバー犯罪者が用いるインフラの匿名性を高めて稼働させる防弾ホスティング、感染PC端末で構築されたレンタル用ボットネット、あるいはそれらを操作・制御するために必要な不正コンテンツやコンポーネントをホストするために利用される場合があります。
サイバー犯罪者間で行われる取引方法は、多くの点において正規企業が用いるそれと似ています。闇市場での取引経験の有無に関係なくサイバー犯罪者は、さまざまなプラットフォーム上で商品を取引しています。商品を取引する場所としてソーシャルメディアを利用する者もいれば、他のサイバー犯罪者の管理下にあるWebサイトでのみ取引を行う者、あるいは精査されたアンダーグラウンドフォーラムでのみ取引する者もいます。
トレンドマイクロは2020年10月6日公開のブログ記事で、サイバー犯罪者が不正活動に用いるサービスやインフラ、ツールを取引するアンダーグラウンドマーケットの概要について報告しました。取引される商品はさまざまであり、商品の売り手側は、買い手側のあらゆる要望に応えています。本ブログ記事では、サイバー犯罪経済動学、つまりアンダーグラウンドで提供されるサービスや特定のサイバー犯罪者が欲するアプリケーションに配慮して構築されるインフラについて詳説します。
トレンドマイクロでは最近、「Glupteba」の亜種(Trend Microでは「Trojan.Win32.GLUPTEBA.WLDR」として検出)を確認しました。Gluptebaは、過去にWindigo作戦に関与したバンキングトロジャンとして知られています。弊社ではまた、MikroTikルータへの攻撃や、自身のコマンド&コントロール(C&C)サーバへの更新に関して調査しました。今回確認されたバンキングトロジャンは、挙動に関して他の亜種との類似点を多く共有しています。前述の検体で特筆すべき点は、トレンドマイクロが最近解析したモジュール型アドウェアの一種「ManageX」(トレンドマイクロでは「Trojan.JS.MANAGEX.A」として検出)を使用していることです。本記事では、コード解析から判明したGluptebaのモジュール性とクロスプラットフォーム機能について解説します。
図1:攻撃の流れ (さらに…)
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