2016年末、Linux を搭載した IoT機器を狙う「Mirai」(「ELF_MIRAI」ファミリとして検出)による、大規模な「分散型サービス拒否(DDoS)」攻撃が数々の被害を発生させました。これらの事例は、「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」のエコシステムが、機能していない事実を明らかにしました。Mirai は、さらに拡散範囲を拡大するべく、今度は Windows PC を踏み台とするための機能を取り入れ、再び注目を集めています。
続きを読むトレンドマイクロは、2016年9月、更新したランサムウェア「CRYSIS(クライシス)」(「RANSOM_CRYSIS」として検出)がオーストラリアとニュージーランドの企業を標的に、「リモート・デスクトップ・プロトコル(RDP)」を経由したブルートフォース(総当り)攻撃を仕掛けていたことについて報告しました。そして現在、RDP経由のブルートフォース攻撃は続行中であり、世界中の大企業や中小企業に影響を及ぼしています。事実、2017年1月には、2016年末に比べ攻撃数が倍増しています。ざまざまな業界が影響を受けていますが、終始一貫して標的とされているのは、米国の医療業界です。
![図1:影響を受けた地域および業界](/wp-content/uploads/2017/02/170210comment01.jpg)
図1:影響を受けた地域および業界
世界190カ国以上に9,300万人以上の加入者を持つ動画配信サービス「Netflix」から、サイバー犯罪者が分け前を得ようと考えても不思議ではありません。彼らは、Netflix会員の認証情報を窃取しアンダーグラウンドで金銭に換える、あるいは Netflixアプリの脆弱性を悪用する、また、最近では、会員の金融関連その他の個人情報を窃取するマルウェアを PCに感染させる、などの不正活動を行ないます。
窃取された Netflix の認証情報は、他の目的のためにも利用されます。例えば、サイバー犯罪者間の交渉で、取引材料とされることがあります。さらに悪質な場合、ユーザにマルウェアをインストールさせるための餌とし、金銭をだまし取るために利用されることがあります。つまり、Netflix で好きな番組を「タダ見」しようとしたユーザの PC がランサムウェアに感染し、ファイルが人質にとられてしまう、ということがあり得ます。
(さらに…)
身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)の感染事例は、2016年から頻繁に報道されています。トレンドマイクロで把握しているだけでも、主に米国等の英語圏を中心に2016年1年間の報道件数は 77件に達しました。第4四半期に入り減少が見られるものの、月平均 6件近くの事例が報道されたことになります。これら全 77件のランサムウェア感染報道を見渡した際、どのような傾向が確認できるでしょうか。なお、第4四半期の報道事例減少は、弊社が「2017年セキュリティ脅威予測」でも示したとおり、「急増期」から「安定期」への変化を示唆しているのかもしれません。
![図1:2016年ランサムウェア報道事例の四半期ごとの業種別推移](/wp-content/uploads/2017/01/170117comment01.png)
図1:2016年ランサムウェア報道事例の四半期ごとの業種別推移
2015年末、トレンドマイクロは「2016年はネット恐喝の年になる」と予測しました。この予測は、早くも 2016年第1四半期に現実のものとなり、その後、2016年末までランサムウェア事例は急増し続け、個人だけでなく、病院、大学、公共交通機関、法執行機関までが被害に遭う現実を目の当たりにしました。また、2016年には大規模情報漏えいが矢継ぎ早に発生し、情報の保護がいかに脆弱であり、サイバー犯罪者に簡単にアクセスされる現実を思い知らされました。
これら 2016年の事例に基づき、企業は、2017年、どのような点に注意してサイバーセキュリティ対策を講じるべきでしょうか。
続きを読む個人利用者においても法人利用者においても、PC やインターネットの利用はなくてはならないものになっています。それと同時に、さまざまな「サイバー脅威」の被害に遭う可能性も高まっています。昨今のサイバー脅威はそのほとんどが金銭利益を最終目的とした「サイバー犯罪」となっています。その大半は、金銭につながる個人情報やクレジットカードなどの決済情報を窃取・詐取するための攻撃、もしくは、利用者の持つ金銭を直接巻き上げるための攻撃です。2016年に日本国内で発生した様々なサイバー脅威の事例から、個人利用者では 1)「ランサムウェア」、2)「オンライン銀行詐欺ツール」、3)「モバイルの脅威」を、法人利用者では 1)「ランサムウェア」、2)「標的型サイバー攻撃」、3)「公開サーバへの攻撃」をそれぞれ 2016年における「三大脅威」として選定いたしました。本ブログではこの日本における 2016年個人と法人の三大脅威について、連載形式で解説してまいります。第 1回の今回は、国内の個人利用者と法人利用者の双方に対して 2016年 1年間を通じ、過去最大の被害をもたらした「ランサムウェア」について解説します。
![図1:2016年国内の個人と法人における三大脅威](/wp-content/uploads/2017/01/170110comment01.png)
図1:2016年国内の個人と法人における三大脅威