2020年も悪名高い「EMOTET」の拡散メールやデータの暗号化に加えて情報暴露をもとに脅迫し身代金を要求する情報暴露型のランサムウェア攻撃など、国内の法人組織は深刻なサイバー攻撃にさらされてきました。しかしながら、こうした脅威によって発生するセキュリティインシデントのうち対外的に公表される事例は一部に過ぎず、脅威の実態は表面化していないのが現状だと考えられます。 (さらに…)
続きを読む2020年3月以降、経営幹部のOffice 365アカウントの詐取を起点としたビジネスメール詐欺(BEC)が継続的に確認されています。標的型のフィッシングメール(スピアフィッシングメール)の手口を使った最近の攻撃では、米国とカナダの管理職クラスが狙われており、これまでに世界中の企業1,000社以上のアカウントが影響を受けたと考えられます。トレンドマイクロは、このサイバー犯罪者グループを「Water Nue(ウォーターヌエ)」と名付けました。Water Nueは最初に金融業界の経営幹部が持つアカウントの認証情報を狙い、フィッシングメールによって偽のOffice 365ログインページに誘導します。認証情報の詐取に成功し、経営幹部アカウントの乗っ取りに成功すると、偽の銀行情報が含まれる請求書を添付した送金指示メールを部下の従業員に送信し、金銭を騙し取ります。
図1:Water NueによるOffice 365のログイン画面を模倣したフィッシングサイトの例 (さらに…)
続きを読むトレンドマイクロでは2020年上半期(1~6月)における国内外での脅威動向について分析を行いました。2020年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって、世界に大きな変化がもたらされることは、誰も予想していなかったことでしょう。コロナ禍が及ぼした大きな影響は、実世界においてもサイバー世界においても「新たな日常」となりました。サイバー犯罪者はこの状況を利用し、メール、ソーシャルメディア、不正サイト、偽アプリなど、幅広いプラットフォームでさまざまな手口を駆使した攻撃を次々に展開しました。特にこの上半期の期間、国内におけるフィッシング詐欺は過去最大規模となりました。これは多くの利用者において、ネットワークアクセスに費やす時間が長くなっていることなども影響しているものと考えられます。
トレンドマイクロは世界27か国、1万3,200人のテレワーカーを対象に行った聞き取り調査「Head in the Clouds」の結果をまとめました。新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的なパンデミックの感染被害は「コロナ禍」と呼ばれるほど、我々の生活に大きな影響を与えています。世界各地で都市封鎖(ロックダウン)や外出制限が行われ、多くの企業組織では従業員をテレワークに順応させざるを得ない状況となり、多くの従業員が自宅からの勤務を余儀なくされています。このコロナ禍による勤務体系の大きな変化に合わせて、多くの企業組織はテレワークの恒久化を本格的に導入する可能性があります。これが現実化した場合、サイバーセキュリティに大きな影響を与えることになります。企業組織のセキュリティ対策において従業員、つまり「人」が最終的な脆弱性となることはしばしば指摘されていますが、在宅勤務で働く従業員は、さらに大きな責任を負うことになるのでしょうか。
残念なことに、トレンドマイクロが行った調査では、ロックダウン中に多くの人がサイバーセキュリティに対する意識を向上させているにも関わらず、セキュリティポリシーに対する理解不足やリソースの制約により社内規定を破っていたことが明らかとなっています。ユーザのセキュリティ意識を向上させる目的で訓練強化を検討する最高情報セキュリティ責任者(CISO)は、訓練対象者が持つ個人の特徴に合わせてセキュリティ戦略を割り当てることで、訓練における有効性を向上させることができます。
続きを読む8月に入っても新型コロナウイルス(COVID-19)の感染被害はまだ衰えを知らないようです。コロナを前提とした新たな生活様式が叫ばれる現在、在宅業務などのテレワークはWindows PCだけでなく、Macを使用して行われる場合もあります。企業が所有するMacをオフィスから自宅に持ち帰り仕事に使用する場合は、IT部門が企業のセキュリティポリシーに準拠させた形で既にMacを設定していることでしょう。しかし個人で所有するMacを仕事で利用する場合、どのような対策を講じればいいでしょう。継続的に円滑な業務遂行を確保する一方で、マルウェア感染や不正な情報詮索などの脅威からMacおよび企業を保護するには、企業の定めるセキュリティの基本方針に則る必要があります。
本記事は、Macを利用したテレワークで安全にプライベートと生産性を維持するための21の推奨事項を紹介します。また、業務中に問題が発生した場合に備えて、個人用の「ヘルプデスク」が設置されていることを確認しましょう。
続きを読む従来からのマルウェアの攻撃手法は、マルウェア本体である細工が施された実行ファイルに依存していました。一方、近年増加している「ファイルレス活動」を実行するマルウェアは、感染システムのメモリ内に常駐することで、ファイルを検索対象とした従来型スキャン機能や検出方法を回避します。Windowsの標準機能である「PowerShell」は通常、システム管理の目的で利用されます。しかし同時に、Windows向けのマルウェアを作成する攻撃者にとっても、ファイルレス活動などの実現に利用できる好都合な機能となっている実態があります。トレンドマイクロでは、ファイルレス活動に関する複数のレポートを公開し、上記の事実を検証してまいりました。本記事ではWindowsの標準機能であるPowerShellを悪用する攻撃者側の手法とその対策についてまとめます。
続きを読むトレンドマイクロは、サイバー攻撃グループ「Earth Empusa(別名POISON CARPあるいはEvil Eye)」の追跡調査中、新しいAndroid端末向け不正アプリ(スパイウェア)「ActionSpy」(「AndroidOS_ActionSpy.HRX」として検出)を確認しました。Earth Empusa は、2020年第1四半期にはチベットとトルコのユーザをターゲットとして活動し、その後、攻撃対象に台湾を加えたものとされています。また、Earth Empusaによる攻撃キャンペーンは、AndroidとiOS双方のモバイル端末を攻撃対象とし、ウイグル語を使用するユーザを狙うことが報告されています。この攻撃グループは水飲み場攻撃を利用することで知られていましたが、トレンドマイクロでは、フィッシング攻撃の誘導によってマルウェアを配信する攻撃手法も確認しました。 (さらに…)
続きを読む「Tropic Trooper」は、2011年から活動しているとされるサイバー攻撃グループです。これまでに、台湾、フィリピン、香港における政府および軍事機関、ヘルスケア、輸送、ハイテク産業を攻撃対象にしてきたものと推測されています。トレンドマイクロではこのグループの活動として、2015年に脆弱性を利用するファイルを添付した標的型メール(スピアフィッシングメール)の攻撃を、また2018年にはツールに新機能を追加するなどの攻撃手法の変化を報告してまいりました。そして最近確認されたTropic Trooperの攻撃活動では、USBストレージ経由で台湾およびフィリピンの軍事機関のエアギャップ環境、つまり他のネットワークから物理的に隔離されている閉域ネットワークへの侵入を狙う活動を把握しました。また同時に、政府機関、軍事病院、さらに国立銀行を標的とした攻撃も確認できました。この攻撃でTropic Trooperは、特定の標的環境において自身の活動を隠蔽しつつさまざまなコマンドを実行し、USBストレージから重要な情報を窃取するマルウェア「USBferry」を活用します。ちなみにUSBferryの名称は、調査の際に入手されたサンプルの名前からとられています。トレンドマイクロの調査では、おとりとなる偽の実行ファイルとUSBferryを利用して情報を収集する活動を確認しています。
図1:USBferry攻撃のシナリオ例
続きを読む「アンダーグラウンドマーケット最新事情」連載、最終回の今回は、トレンドマイクロが2019年に行ったアンダーグラウンドマーケットの最新調査の結果から、アンダーグラウンドマーケットで扱われている商品やサービスに関する新たな傾向と近い将来に起こりえる変化の予測について報告します。
(※記事内で使用する通貨単位として、「ドル、$」は米ドル、「円、¥」は日本円とします。また記事編集時6月時点の換算レートで1ドル=107円、1ビットコイン=100万円として計算します)