標的型サイバー攻撃キャンペーン「BLACKGEAR(ブラックギア)」は、諜報目的に、これまでにも数年にわたって台湾のユーザを攻撃してきました。2012年に初めて確認され、当時、多くの新聞やメディアがバックドア型不正プログラム「ELIRKS」を利用するこのキャンペーンについて報告しました。「BLACKGEAR」は、実際のコマンド&コントロール(C&C)サーバの位置情報を隠ぺいするために、ブログやミニブログのサービスを利用する手法で知られています。これにより攻撃者は、ブログに投稿した記事の情報に変更を加えることによって、利用する C&Cサーバを素早く変更することが可能になります。
続きを読むあなたの所属する組織は、サイバー攻撃にさらされた時、適切なインシデント対応が行えるでしょうか?組織のセキュリティ担当の方も、そうでない方も、考えてみてください。自分がセキュリティ担当者だった場合には、実情はよくお判りでしょう。一般の職員の方でも、自組織では最低限の準備がとられているのかどうかを判定できる方法があります。それは例えば、自分が標的型メールの添付ファイルを開いてしまった時、どこに連絡すればいいのかを知っているか、どうか?です。
「インシデント」は非常に幅広い言葉であり、その具体的な被害内容は多岐にわたります。中でも特に、自組織での迅速かつ適切な対応が重要なものとして、ネットワークへの脅威の侵入があります。2015年に発生した年金事業者の被害事例、そして 2016年に発生した大手旅行会社の被害事例など、組織内ネットワークに脅威が侵入したことから組織が持つ情報が侵害された多くの事例が発覚しています。このような被害事例の中でも、2015年以降にトレンドマイクロが対応した事例の 9割近くで、組織のネットワーク内部から外部への「不審な通信」を外部から指摘されたことがインシデント発覚の発端になっています。内部から外部への不審な通信の存在は、自組織のネットワーク内に何らかの脅威が侵入した可能性が高い状況を表す「被害の兆候」です。このような被害の兆候について、多くの被害事例では外部からの指摘で気づいており、自身で気づけた組織は少ないことがわかります。外部から指摘されたにせよ自身で気づけたにせよ、自組織ネットワークへ脅威が侵入した可能性に気づいた場合に、組織として「インシデント対応」の実施が必要です。
図:インシデント発覚の発端の割合
(2015年1月~2016年6月にトレンドマイクロがインシデント対応支援を行った事例から集計)
海外では2012年頃から「Tech Support Scam」(テクサポ詐欺、サポート詐欺)と呼ばれるネット詐欺の手口が継続的に見られています。手口としては、ブラウザ上で「ウイルス感染」や「システムの不調」を示す表示で利用者の不安をあおり、画面上に表示されているサポート電話に問い合わせをさせる、というものですが、日本では 2015年頃から本格的な流入が見られており、本ブログでも 2015年6月の記事「「ウイルスが検出されました!」日本語音声で「警告」する詐欺サイトを初確認」で既に取り上げています。その後も攻撃は継続して見られており、トレンドマイクロサポートセンターへの「サポート詐欺」関連の問い合わせ数は2016年を通じて増加傾向を示しています。このようなネット詐欺に関してはその手口を周知することが有効な対策の1つとなりますので、本ブログ記事により継続する「サポート詐欺」手口の注意喚起といたします。
続きを読む2016年10月21日、DNSサービスプロバイダ「Dyn」が、「分散型サービス拒否(distributed denial-of-service、DDoS)」の大規模な攻撃を受けたことが大きく報道されました。この事例ではセキュリティ対策が不十分な IoT機器に感染した不正プログラムが DDoS攻撃の大部分を占めたものとされています。IoT機器経由での攻撃が、インターネットを支えるインフラストラクチャの重要部分を機能停止させ、それに伴い多くの大手サイトが利用不能となったことは、「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」のセキュリティ確保に関する重大な警告となりました。
続きを読むAdobe は、2016年10月26日(米国時間)、同社製品 Flash Player に存在するゼロデイ脆弱性「CVE-2016-7855」に対応する定例外更新プログラムを緊急に公開しました。同社セキュリティ情報「APSB16-36」によると、問題の脆弱性の影響を受けるバージョンは、今月11日にリリースされた 23.0.0.185、およびそれ以前のバージョンとなります。詳細は、以下の通りとなります。
影響を受ける OS:Windows、Macintosh、Linux、Chrome OS
23.0.0.185 以前のバージョン
- Adobe Flash Player Desktop Runtime
- Adobe Flash Player for Microsoft Edge and Internet Explorer 11
- Adobe Flash Player for Google Chrome
11.2.202.637 以前のバージョン
- Adobe Flash Player for Linux
同社製品の利用者は、直ちに更新プログラムを適用してください。
続きを読む2016年10月18日、「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、第192回臨時国会に提出されることになりました。この改正法律案には、クレジットカード情報の適切な管理、販売業者に対する管理強化、FinTech(フィンテック)の更なる参入を見据えた環境整備、特定商取引法の改正に対応するための措置といった、大きく 4つの項目が盛り込まれています。クレジットカード情報を狙ったサイバー犯罪が横行する中で大きな動きの一つとなりそうです。
今回の改正案の中でも特に注目すべきが、「クレジットカード情報の適切な管理等」のポイントです。これは、クレジットカード情報の漏えい対策や、決済端末の ICチップ付きクレジットカード対応といった、クレジットカード情報の適切な管理ならびに不正使用の防止を販売業者に対して義務付けるというものです。これらの対応が必要とされる背景には、クレジットカード情報の窃取や不正使用といったサイバー犯罪の世界的な増加があります。
今月公開した記事にもある通り、クレジットカード情報を窃取するサイバー犯罪の一つには、ECサイトのようなクレジットカード情報を処理、保持する企業やシステムを狙った脅威があります。もう一つは、小売業など店頭でクレジットカードを取り扱う企業やシステムを狙ったサイバー犯罪です。クレジットカード決済やネットショッピングの世界的な普及に伴い、クレジットカード情報の窃取や偽造カードによる不正な決済といった犯罪の防止は、クレジットカードを取り扱うすべての事業者に求められるものになっています。
続きを読む「販売時点情報管理(Point of sale 、POS)」を狙う POSマルウェアのほとんどは、POS端末のメモリ情報の収集、同端末メモリの読み取り(RAMスクレイピング)、情報の保存と送出という手順を踏みます。しかし「FastPOS(ファストポス)」(トレンドマイクロでは「TSPY_FASTPOS.SMZTDA」として検出対応)は、これまでの亜種と異なり、仲介手順を省略し、クレジットカード情報窃取後、直ちにコマンド&コントロール(C&C)サーバへ情報送出します。
続きを読む暗号化型ランサムウェア「CERBER」のバージョン 3.0が確認されてから 1カ月後、バージョン 4.0(「RANSOM_CERBER.DLGE」として検出)がリリースされました。トレンドマイクロは、「CERBER」を拡散する「malvertising(不正広告)」キャンペーン 3件、および改ざんされた Webサイトのキャンペーン 1件について追跡し調査を行いました。「CERBER」最新版については、セキュリティリサーチャー Kafeine氏によるランサムウェア広告についての報告にも記載されています。
続きを読む大手企業が運営するモール型の ECサイトが普及し、多くのショップが実店舗での販売だけでなく、ネット販売を行うようになりました。こうしたネット販売が一般的になったことで、モール型の ECサイトだけでなく、自社で ECサイトを構築し、ビジネスを行う企業も増えています。こうした ECサイトを運営する企業は、顧客の個人情報やクレジットカード情報を取り扱うため、そういった情報を狙ったサイバー犯罪者に標的とされる可能性があります。万が一、ECサイトからクレジットカード等の情報が漏えいした場合には、ECサイトとしての信頼を失うだけでなく、顧客への損賠賠償や長期のサイト停止によって、ビジネスに深刻な影響が出るでしょう。
続きを読む