新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴い、オンラインサービスの利用が拡大しています。そのような傾向は以前から見られましたが、物理的な接触を避ける必要が生じたことによってこの傾向は加速したと言えます。公共サービスや「テレヘルス(遠隔医療)」に代表される医療サービスなど、多くのサービスがオンライン化されました。また、実店舗の閉鎖も相次ぎ、企業はオンライン取引の拡大に注力しています。
続きを読むこの数年、メール経由で拡散するマルウェアの代表格だった「EMOTET」は1月にテイクダウンされたため、メール経由の脅威全体も取るに足らないものになったように思っている方も多いかもしれません。しかし、マルウェアスパムを送信するサイバー犯罪者は別のマルウェアを拡散させるメールの送信を続けています。トレンドマイクロは、2021年3月にマルウェア「BazarCall」と「IcedID」の活動がグローバル全体で急増したことを確認しました。この2つのキャンペーンはどちらも、スパムメールを使用してユーザに不正なファイルをダウンロードさせるよう誘導します。BazarCallはコールセンターを使用するなど、より婉曲的な方法を採用しています。一方、IcedIDは昨年流行したEMOTETと同様に、スパムメールをより本物らしく見せるために実際にやりとりされた電子メールを窃取し再利用します。外部の複数のリサーチャーからもBazarCallとIcedIDが3月にスパムメールキャンペーンで積極的に拡散されていたことが報告されており、トレンドマイクロの調査結果と合致しています。一般的に、グローバル全体で活発化が確認された攻撃キャンペーンは後に日本を攻撃対象として同様の手法で展開されることがあるため注意が必要です。実際、一昨年から国内でのメール拡散が拡大した「EMOTET」も、グローバル全体でキャンペーンの活発化が確認された後に日本を攻撃対象とした日本語のスパムメールが拡散されるようになりました。
![図1:「BarzarCall」を拡散させるマルウェアスパムの例](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/図1:「BarzarCall」を拡散させるマルウェアスパムの例.jpg)
図1:「BarzarCall」を拡散させるマルウェアスパムの例
無料お試し期間が終了し支払いが発生するという内容で連絡先電話番号に電話するよう誘導する
2021年に入り今もなお、コロナ禍の影響により個人や企業の日常業務に大きな支障が生じています。多くの組織において、業務継続のためにテレワークが不可欠なものとなると同時に、「クラウドコンピューティング」の重要度も増しています 。実際、クラウドコンピューティングへの依存度は昨年から急上昇しており 、今後も続くに違いありません。クラウドコンピューティングがデジタルトランスフォーメーション(DX)の中心となる中、攻撃者もこの状況に注目しクラウドインフラストラクチャを悪用しています。特にクラウド技術を利用する攻撃経路の中でも、クラウドのメールサービスは最もシンプルかつ最もわかりやすい存在であることから、逆に最も悪用されやすい存在ともなっています。フィッシングメール、不正スパムメール、ソーシャルエンジニアリング攻撃など、サイバー犯罪の歴史と共に洗練されてきた攻撃手法がクラウドメール経由でも猛威を振るっています。
![図1:2020年全世界におけるクラウドメール関連脅威の概況](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/図1:2020年全世界におけるクラウドメール関連脅威の概況-1.png)
トレンドマイクロは「ROS-Iコンソーシアム」に参加し、産業用ロボットによるインダストリー4.0アプリケーションにおける安全な開発促進を支援します。
トレンドマイクロが長年にわたって成功を収めている秘訣の1つとして、新たなセキュリティ脅威がどこからやって来るのかを常に注視している点が挙げられます。こうした点からトレンドマイクロでは、現在、ITおよびOT(Operation Technology)の融合に向けた研究開発に注力しています。急成長を続けているこの分野は、IoTデバイスとしてインターネットに接続される中、特に製造業での進歩が著しく、大きな成果を上げています。しかしこのような飛躍の反面、技術的な各種システムが適切に保護されていないなど、セキュリティ上のリスクも懸念されています。
続きを読む今月第2火曜日となった2021年4月13日は、Adobe社およびMicrosoft社から最新のセキュリティ更新プログラムがリリースされました。これらのセキュリティ更新プログラムの詳細について確認しましょう。特に、MicrosoftのWin32k の特権昇格の脆弱性「CVE-2021-28310」はゼロデイ時点での悪用発生の事実をMicrosoftが確認しています。法人組織の管理者の方は、確実に修正プログラムの適用を行ってください。
続きを読むトレンドマイクロは、シェルスクリプトを使用して不正な活動を行う攻撃を再び確認しました。これらのシェルスクリプトは、公開されているコンテナリポジトリ上のランダムなイメージとして作成されていました。このようなシェルスクリプトにはバックドアなどの不正要素が含まれている可能性があるため、実行することによるセキュリティ上のリスクがあることを認識する必要があります。過去の攻撃では、そのような不正なシェルスクリプトの多くはコインマイナーを展開するために使用されていました。しかし、新しいサンプルを利用した最近の事例では、シェルスクリプトがコインマイナーのダウンローダとしてではなく別の目的を果たしており、どのように開発されているかを明確にしています。トレンドマイクロでは今回の調査により判明したコマンド&コントロール(C&C)サーバのURL、文字列、暗号鍵、サンプルで使用されている言語などの特徴から、この最新の攻撃はハッキング集団「TeamTNT」によるものと推測しています。
![図1:不正シェルスクリプトの機能を示すコード部分の例](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/図1:不正シェルスクリプトの機能を示すコード部分の例.png)
トレンドマイクロは、台湾の政府機関、研究機関、大学など複数の組織をターゲットとする新しいキャンペーンを確認しました。2019年5月から開始していたこのキャンペーンは、台湾で広く利用されているWebメールのシステムにJavaScriptのバックドアを設置し対象組織のメールを窃取していました。過去に確認されている攻撃グループとの明確な関連性がないことから、トレンドマイクロはこれを実施した攻撃者を 「Earth Wendigo(アース ウェンディゴ)」と名付けました。標的型攻撃においては、台湾で確認された攻撃手法がその後に日本で確認されることも多く、国内利用者も注視すべき事例と言えます。
![図1:Earth Wendigoの攻撃フロー](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2021/04/図1:Earth-Wendigoの攻撃フロー.jpg)
「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「2025年の崖」など新たなデジタル世界への対応と変革の必要性が叫ばれる中、そのシンプルさと柔軟性の高さからマイクロサービスアーキテクチャを採用する企業や組織が増えています。実際、2019年に行われた調査では、大企業のITリーダの89%は「進化し続けるデジタル世界で企業が競争力を維持するためにはマイクロサービスが不可欠」と考えていることが報告されており、今後より多くの開発者がオンプレミスやクラウドサービス内にコンテナを展開することが予想されます。しかしクラウド上のコンテナではセキュリティ管理の不備により重要データが不用意に露出する可能性があり、攻撃者にとって格好の的となる恐れがあります。具体的には露出したRedisインスタンス内に暗号資産採掘ツール(コインマイナー)が展開されたり、Docker Hub上でコミュニティが共有するコンテナイメージを悪用して不正コンテナが展開されたりするなど、設定に不備のあるサービスを狙った攻撃が継続的に確認されています。また別の事例ではコインマイナーが感染したLinuxシステム内に既存する別のコインマイナーを検索して削除し自身の計算能力を最大化させる動きも確認しました。このコインマイナーはDockerやRedisのプラットフォーム内で露出したアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を検索していたことから、攻撃者がこれらのプラットフォームに精通していることが示唆されます。
そして今回トレンドマイクロでは、さらに上記とは異なる攻撃手口を確認しました。この攻撃はいわゆる「コンテナエスケープ」の攻撃手法となっており、ルート権限のすべてを備えたホストマシン上のPrivileged(特権)コンテナからホスト側に「脱出」できるよう特別に作成されたペイロードが利用されました。注意すべき点は、Dockerを利用しているからといって、ユーザが使用するコンテナすべてが自動的に特権コンテナとなるわけではないことです。事実、Dockerユーザの多くは特権コンテナを使用していません。これはすなわち、適切なセキュリティを確保する方法を知らずに特権コンテナを使用することはリスクが高いことを示します。
![図1:Dockerの特権コンテナに内在する脆弱性を攻撃する流れ](https://blog.trendmicro.co.jp/wp-content/uploads/2021/03/図1:Dockerの特権コンテナに内在する脆弱性を攻撃する流れ-1024x838.png)