本ブログ記事では、これまでもモバイル利用者を脅かす様々なサイバー脅威についてお伝えしています。しかし、大きな被害事例が継続して報告されている PC の危険と比べ、モバイル端末を利用する際の危険についてはまだまだ浸透していないのが現状ではないでしょうか。本連載ではトレンドマイクロの事件対応と調査分析から判明している、最新のモバイル脅威事情をお伝えいたします。
続きを読む本ブログ記事では、これまでもモバイル利用者を脅かす様々なサイバー脅威についてお伝えしています。しかし、大きな被害事例が継続して報告されている PC の危険と比べ、モバイル端末を利用する際の危険についてはまだまだ浸透していないのが現状ではないでしょうか。本連載ではトレンドマイクロの事件対応と調査分析から判明している、最新のモバイル脅威事情をお伝えいたします。
サイバー犯罪者の視点で考えた場合、現在、金銭を狙う攻撃として最も成功している攻撃手法は「ランサムウェア」であることは間違いありません。2016年9月現在、PC におけるランサムウェアによる被害は増加の一途を辿っていますが、サイバー犯罪者にとって成果を上げやすい攻撃手法は、より対象を拡大させていく傾向にあります。既に3月18日のブログ記事で紹介しているように、ランサムウェアの攻撃は PC の利用者に加え、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末利用者へも範囲を拡大させています。
続きを読む2016年 8月中旬から「Chrome:ユーザー調査」と称する Web上の不審な表示を訴えるネット上の声が Twitter や各種 SNS などで見られています。トレンドマイクロでも同様の問い合わせを受けており、調査の結果、Chrome利用者だけでなく PC やモバイル利用者全体を対象に、最終的に利用者のクレジットカード情報を狙うフィッシングにつながる「アンケート詐欺」事例であることを確認しました。このようにアンケートやプレゼント当選の名目で利用者を誘導する手法は、昨年に本ブログで取り上げた「当選詐欺」の事例など、定期的に確認されており、いわばネット詐欺の「常とう手段」と言えます。今回のアンケートを偽装する手口も既に数年前から繰り返し見られている手法です。このような常とう化している攻撃に関してはその手口を周知することが有効な対策の1つとなりますので、本ブログ記事により繰り返される手口の注意喚起といたします。
![図1](/wp-content/uploads/2016/08/160829comment01.jpg)
図1: Chrome ユーザへのアンケート調査を偽装した Web表示の例
先日お伝えした記事に続き、国内ネットバンキングを狙う「URSNIF(アースニフ、別名:GOZI)」が再び電子メール経由で拡散していることが確認されました。攻撃の内容自体に大きな変化はなく、様々な件名や内容の日本語マルウェアスパムが着信し、受信者が添付ファイルを開いてしまうとインターネット上の不正サイトからのダウンロードにより最終的に「URSNIF」が侵入します。前回は5月末から6月7日までのおよそ10日間で3万件以上のマルウェアスパムが観測され、その後も小規模に継続していました。そして今回は6月27日からの2日間だけで4万件を観測と前回の拡散を上回る規模となっています。オンライン銀行詐欺ツールの本体である「TSPY_URSNIF」の検出台数推移を見ても、6月27日以降に急増し5月以降最大の検出台数となっているため、攻撃者がより大きな規模の攻撃を仕掛けていることは間違いありません。
![図1: 日本国内での「TSPY_URSNIF」の検出台数推移](/wp-content/uploads/2016/07/160701comment01.jpg)
図1: 日本国内での「TSPY_URSNIF」の検出台数推移
2015年、国内では日本年金機構の事例をはじめとして多くの標的型サイバー攻撃の被害が表面化しました。トレンドマイクロでは、この2015年に確認した日本国内における「標的型サイバー攻撃」に関しての分析を行いました。この分析では標的型サイバー攻撃を、「初期潜入」から「端末制御」までの「侵入時活動」と、「情報探索」から「情報送出」に至るまでの「内部活動」の2段階にわけて分析を行っていますが、攻撃者が状況と目的に応じて臨機応変に攻撃手法を変化させている様が浮かび上がってきました。
![図1: 標的型サイバー攻撃の攻撃段階概念図](/wp-content/uploads/2016/05/160510comment01.jpg)
図1: 標的型サイバー攻撃の攻撃段階概念図