2020年4月、史上初となる悪質なディープフェイクによるビデオ通話の事例が報告されました。長期にわたってトレンドマイクロが予測してきた脅威が現実のものとなりつつあります。
続きを読む2019年以降、トレンドマイクロでは「Water Pamola」と名付けた攻撃キャンペーンを追跡してきました。この攻撃キャンペーンでは、当初、不正な添付ファイルを含むスパムメールを介し、日本、オーストラリア、ヨーロッパ諸国のオンラインショップが危険にさらされていました。しかし、2020年初頭から、Water Pamolaの攻撃活動にいくつかの変化が見られるようになりました。被害者は、主に日本国内のみとなり、トレンドマイクロによる最近のデータによると、スパムメールの代わりにオンラインショップの管理者が管理画面で顧客注文を確認する際に不正スクリプトが実行される状況が確認されるようになりました。
図1:Water Pamolaの攻撃フロー
続きを読む2020年、トレンドマイクロが運営する脆弱性発見・研究コミュニティ「Zero Day Initiative(ZDI)」は、ZDIプログラム史上最多となる1,453件のアドバイザリを発表しました。加えて、そのうちの18.6%については公開時にベンダによる修正プログラムが提供されておらず、記録的な1年となりました。そして2021年も、ZDIの予測通り、引き続き多忙な年となっています。2021年3月、Microsoftは中国のハッキンググループ「HAFNIUM」による大規模な攻撃に、オンプレミス版のMicrosoft Exchange Serverの4つのゼロデイ脆弱性が利用されたことについてアドバイザリを発表し、修正プログラム(パッチ)の緊急公開を開始しました。攻撃が確認された数日後、米国において少なくとも3万の組織が攻撃を受けたという報道が行われ、トレンドマイクロもこれらの脆弱性を悪用する攻撃に対して脆弱な公開サーバが約87,000台存在していることを発表しました。
続きを読む新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴い、オンラインサービスの利用が拡大しています。そのような傾向は以前から見られましたが、物理的な接触を避ける必要が生じたことによってこの傾向は加速したと言えます。公共サービスや「テレヘルス(遠隔医療)」に代表される医療サービスなど、多くのサービスがオンライン化されました。また、実店舗の閉鎖も相次ぎ、企業はオンライン取引の拡大に注力しています。
続きを読むこの数年、メール経由で拡散するマルウェアの代表格だった「EMOTET」は1月にテイクダウンされたため、メール経由の脅威全体も取るに足らないものになったように思っている方も多いかもしれません。しかし、マルウェアスパムを送信するサイバー犯罪者は別のマルウェアを拡散させるメールの送信を続けています。トレンドマイクロは、2021年3月にマルウェア「BazarCall」と「IcedID」の活動がグローバル全体で急増したことを確認しました。この2つのキャンペーンはどちらも、スパムメールを使用してユーザに不正なファイルをダウンロードさせるよう誘導します。BazarCallはコールセンターを使用するなど、より婉曲的な方法を採用しています。一方、IcedIDは昨年流行したEMOTETと同様に、スパムメールをより本物らしく見せるために実際にやりとりされた電子メールを窃取し再利用します。外部の複数のリサーチャーからもBazarCallとIcedIDが3月にスパムメールキャンペーンで積極的に拡散されていたことが報告されており、トレンドマイクロの調査結果と合致しています。一般的に、グローバル全体で活発化が確認された攻撃キャンペーンは後に日本を攻撃対象として同様の手法で展開されることがあるため注意が必要です。実際、一昨年から国内でのメール拡散が拡大した「EMOTET」も、グローバル全体でキャンペーンの活発化が確認された後に日本を攻撃対象とした日本語のスパムメールが拡散されるようになりました。
図1:「BarzarCall」を拡散させるマルウェアスパムの例
無料お試し期間が終了し支払いが発生するという内容で連絡先電話番号に電話するよう誘導する
フィッシングは現在もサイバー犯罪者がインターネット利用者を攻撃するうえで効果的な手口です。新型コロナウイルスの流行で消費者の購買手法が変化したことによってネットショッピングの利用は世界中で急激な増加を見せていますが、サイバー犯罪者もまたそれに対する攻撃キャンペーンを迅速に展開しています。トレンドマイクロでは昨年2020年末から、クレジットカード利用者を対象にした特定のフィッシングメールの攻撃キャンペーンに注目し、追跡しています。
このフィッシングキャンペーンの背後にいる攻撃者は、国営の郵便サービスによる配送に関連したフィッシングメールを送信し、利用者のクレジットカード番号を窃取します。送信されたフィッシングメールは、認証情報を詐取するためのフィッシングサイトへと利用者を誘導しようと試みます。この攻撃は、米国、スイス、中国、日本、シンガポールなど少なくとも26カ国に及ぶ広い範囲に送信されています。なお、このフィッシングキャンペーンについては、すでに香港の報道機関や米国でも報告されています。
2020年12月1日から2021年1月10日までの間に、郵便サービスを偽装する不審なフィッシング関連URL計279,308件(1日平均6,812件)が、トレンドマイクロのメール対策製品により検出されました。また、12月12日から18日までと、12月30日から1月5日までの期間において不審なURLの検出数が増加していることが確認されました。このようなデータからは、今後も郵便サービスを偽装するフィッシング攻撃が続くことが予想されます。
トレンドマイクロの2021年セキュリティ脅威予測では、サイバー犯罪者が新型コロナウイルス(COVID-19)に便乗した攻撃活動を2021年も継続すると予測しています。これはコロナ禍の影響によりオンラインショッピングの利用者やECサイト上での決済サービスの使用頻度が増加し電子商取引への依存度が高まったことに加え、金融支援の必要性が増大したことにも起因します。サイバー犯罪者はこれらの状況を利用してネット利用者を誘導し、重要情報などを詐取しようを試みます。認証情報やカード情報を詐取する新たな手口が日々生み出されている中で、古くから存在し巧妙化を続ける脅威もいまだに多く利用されています。本ブログ記事では、2020年12月下旬から2021年1月の第1週までに海外で観測されたいくつかのフィッシングキャンペーンの動向を解説します。
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