PowerShellを悪用してマルウェアを拡散する手法は、これまでにも行われてきました。PowerShellの利用は、実際に「ファイルレス活動」を行う多くの脅威が使用する一般的な手法です。トレンドマイクロは、定期的に遭遇するこのような種類の脅威を、挙動監視技術によってプロアクティブに検出してブロックします。例えば、「スマートパターン」は、不正なPowerShellスクリプトによってスケジュールに登録されたタスクをプロアクティブに検出します。他にも、「Server Message Block(SMB)」の脆弱性を突く攻撃、辞書攻撃と考えられるログイン試行、不正な仮想通貨発掘活動に関連する通信などの活動の痕跡を検出するネットワークルールがあります。
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トレンドマイクロは、コンテナを狙う不正活動を監視するための取り組みの一環として、APIを露出させたDockerホストを実行するPCをハニーポットとして設置しました。Dockerは、コンテナベースの脅威によって最もよく狙われるシステムのひとつです。このハニーポットを設置して監視した目的は、攻撃者がこのDockerホストを発見し、ユーザが望まないコンテナを展開するために利用することを検出するためでした。最近、ハニーポットの状態を確認したところ、1つのイメージ(コンテナのスナップショット)が既にこの環境に展開されていたことが分かりました。
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ボット型マルウェア「AESDDoS」の亜種(「Backdoor.Linux.AESDDOS.J」として検出)が、2019年4月、トレンドマイクロが設置したハニーポットで検出されました。このマルウェアは、ソフトウェア企業「Atlassian」が開発する「Confluence Server」のWidget Connectorマクロにおいて、サーバサイドのテンプレートインジェクション脆弱性「CVE-2019-3396」を利用します。このソフトウェアは、DevOpsを採用する開発チームなどが利用するコラボレーションソフトウェアです。
弊社の調査では、このマルウェアの亜種は、脆弱なバージョンのConfluence Serverおよび「Confluence Data Center」を実行しているシステム上において以下の3つの攻撃を行うことが分かりました。
- 分散型サービス拒否(Distributed Denial of Service、DDoS)攻撃
- 遠隔からのコード実行(Remote Code Execution、RCE)
- 仮想通貨の発掘
サイバー犯罪者は金儲けの機会として仮想通貨に注目し、他者のリソースを乗っ取って仮想通貨の発掘(マイニング)を行う不正マイニングに仮想通貨発掘ツール(コインマイナー)を利用しています。そして、2018年に入り、仮想通貨をマイニングするマルウェアが頻繁に確認されています。トレンドマイクロは、4月だけでも既に、仮想通貨「Monero(XMR)」をマイニングする Android 端末向け不正アプリ「HIDDENMINER(ヒドゥンマイナー)」や、Web広告の改ざんによる仮想通貨発掘ツール(コインマイナー)の拡散などの事例を報告しています。そして今回、トレンドマイクロでは、ファイル感染型ウイルスの活動を併せ持つ、いわば「ファイル感染型コインマイナー」を初めて確認しました。
今回確認されたファイル感染型コインマイナーは、トレンドマイクロの製品では「PE_XIAOBAMINER(シャオバマイナー。以下、XIAOBAMINER)」として検出されます。XIAOBAMINER は、マイニングだけでなくファイル感染活動や USBワーム活動の機能を備えています。トレンドマイクロでは XIAOBAMINER の 亜種を既に2種確認しています。弊社の解析によると、XIAOBAMINER は、2017年10月に確認されたランサムウェア「XiaoBa」に不正コードに酷似しており、XiaoBa のコードを再利用して、マイニング機能やワーム拡散機能を追加した破壊的なファイル感染型ウイルスとしてのコインマイナー「XIAOBAMINER」が作り上げられたようです。
続きを読む2017 年以降、仮想通貨を狙うサイバー犯罪の動向に注目が集まっています。現在、仮想通貨を狙う攻撃では、仮想通貨発掘ツール(コインマイナー)を使用した発掘(マイニング)を利用者のリソースを盗用し不正に行う手法が主流となっていますが、今後は利用者の所持する仮想通貨を直接的に窃取する手法も拡大してくるものと推測されます。今回のブログ記事では、既存のフィッシング詐欺でも Web 上の仮想通貨関連サービスの認証情報が狙われ始めていること、そして、既にその動きを加速させるアンダーグラウンドマーケット(闇市場)の動きが確認されていることもお伝えします。

図:3 月に確認された国内仮想通貨取引所を狙うフィッシングメールの表示例
(サンプルを元に再構築)
2018 年 1 月 30 日夜、ウイルス作成容疑で大阪の高校生が逮捕された事例が一斉に報道されました。報道によれば高校生は、仮想通貨「MONACOIN(モナコイン)」を不正に入手する目的で作成した不正プログラムを掲示板上で頒布していたことによる不正指令電磁的記録作成・同供用容疑で逮捕されました。2017 年にはランサムウェアを作成した大阪の中学生、ウイルスを 6,000 個作ったとする北海道の中学生、遠隔操作ウイルスを作成した岡山の高校生など、ウイルス作成容疑による未成年者の逮捕が相次ぎましたが、今回の事例もそれらに次ぐものと言えます。逮捕された高校生が作成した不正プログラムは、モナコイン関連の掲示板「Ask Mona」上で 2017 年 10 月に公開されていた「MonacoinTicker」と「Askmona-Viewer」という 2 本のプログラムと見られています。トレンドマイクロではこれらのプログラム検体を入手、解析の上で不正プログラムとして検出対応(「TSPY_COINSTEAL.G」として検出)しています。

図:逮捕された高校生が作成したものと見られる「Askmona-Viewer」の起動画面
2017 年以降、仮想通貨を狙うサイバー犯罪者の動きが顕著になっています。2018 年に入り日本でも仮想通貨取引所サイトでの仮想通貨の不正出金や流出の事例が相次いで発生したことに続き、仮想通貨ウォレットの情報を盗むマルウェア(トレンドマイクロ製品では「TSPY_COINSTEAL.G」として検出対応)を配布した高校生の逮捕事例もこの 1 月 30 日に明らかになりました。現在、仮想通貨を狙う攻撃では、仮想通貨発掘ツール(コインマイナー)による不正なコインマイニング(仮想通貨発掘)が主となっていますが、今回高校生が逮捕された事例での仮想通貨ウォレット情報の窃取のように、より直接的に仮想通貨を狙う攻撃も以前から存在していました。

図:ビットコインウォレットのデータファイル例