標的型サイバー攻撃キャンペーン「Pawn Storm作戦」は、経済および政治的な諜報活動を目的としたサイバー攻撃を実行し、政府機関や民間組織を標的にして機密情報を窃取してきました。トレンドマイクロは、2017年4月25日、リサーチペーパー「Two Years of Pawn Storm」(英語)を公開しました。「APT28」、「Fancy Bear」、「STRONTIUM」などでも知られる攻撃者集団「Pawn Storm」の攻撃範囲と規模について詳細を明らかにするとともに、彼らの主な目的であるサイバー諜報活動の手法を解説しています。弊社は、Pawn Storm作戦の活動を7年前から調査してきました。本ペーパーでは、過去2年の間に Pawn Stormが活動の焦点をサイバープロパガンダへと移行し、また、彼らの標的型サイバー攻撃が2016年には4倍に増加した経緯について報告しています。
続きを読む英国の詐欺やサイバー犯罪の報告センターである「Action Fraud」は、2017年1月12日(現地時間)、移住者支援慈善団体「Migrant Helpline」を偽装して寄付者を狙う標的型メールを利用した詐欺について注意喚起しました。標的型メールには、寄付ページへのリンクが含まれていました。ユーザが何も疑わずにリンクをクリックすると、正規の Webサイトが開く代わりに、「RAMNIT(ラムニット)」がダウンロードされます。「RAMNIT」は、現在活動しているマルウェアの中でも非常に強力なものの一つで、2016年に脅威状況に復活しました。
続きを読む2017年1月に報告したマイクロソフトアカウントを狙うフィッシング詐欺事例のように、Google アカウント、Apple ID、Yahoo! アカウントといった複数のクラウドサービスの使用に利用可能なマルチサービスアカウントの詐取を狙う攻撃が目立ってきています。トレンドマイクロではそのようなフィッシングサイトの事例として、「Google Play」を偽装し、Google アカウントの詐取を狙う日本語フィッシングサイトを確認しました。このフィッシングサイトに関しては特に大規模な誘導は確認されていませんが、携帯電話のテキストメッセージ(ショートメッセージサービス、SMS)による誘導も確認されており、特徴的な事例であるため情報共有いたします。
図1:「Google Play」を偽装した日本語フィッシングサイトの例
ゼロデイ脆弱性を利用する攻撃ツールは、その脆弱性が修正されればたちまち威力を失います。攻撃者は、更新プログラムが公開されてしまう前に、自身の攻撃ツールを最大限に活用しようと考えるようです。そのような例として、トレンドマイクロは、2016年10月末と 11月初旬に、諜報活動を目的とした集団「Pawn Storm」が、世界中の政府機関や大使館を狙った標的型攻撃を活発化するのを確認しました。標的型サイバー攻撃キャンペーン活動で知られる Pawn Storm は、「Fancy Bear」、「APT28」、「Sofacy」、「STRONTIUM」という別名でも知られています。Pawn Storm は、Adobe Flash Player に存在するゼロデイ脆弱性「CVE-2016-7855」を、Microsoft Windows のオペレーティングシステム(OS)の抱える権限昇格の脆弱性「CVE-2016-7255」と組み合わせて攻撃に利用します。なお、「CVE-2016-7855」の更新プログラムは 2016年10月26日に、「CVE-2016-7255」の更新プログラムは 2016年11月8日に公開されました。
続きを読む2016年 8月中旬から「Chrome:ユーザー調査」と称する Web上の不審な表示を訴えるネット上の声が Twitter や各種 SNS などで見られています。トレンドマイクロでも同様の問い合わせを受けており、調査の結果、Chrome利用者だけでなく PC やモバイル利用者全体を対象に、最終的に利用者のクレジットカード情報を狙うフィッシングにつながる「アンケート詐欺」事例であることを確認しました。このようにアンケートやプレゼント当選の名目で利用者を誘導する手法は、昨年に本ブログで取り上げた「当選詐欺」の事例など、定期的に確認されており、いわばネット詐欺の「常とう手段」と言えます。今回のアンケートを偽装する手口も既に数年前から繰り返し見られている手法です。このような常とう化している攻撃に関してはその手口を周知することが有効な対策の1つとなりますので、本ブログ記事により繰り返される手口の注意喚起といたします。
図1: Chrome ユーザへのアンケート調査を偽装した Web表示の例
2016年の上半期、暗号化型ランサムウェアが暗躍したことは言うまでもありません。暗号化型ランサムウェアは、金銭目的である他の不正プログラム、例えば、オンライン銀行詐欺ツールと異なり、サイバー犯罪者が高度な手法を利用することなく、自身の金儲けに利用できることがその背景にあると考えられます。2014年と2015年に確認された暗号化型ランサムウェアは合計49であったのに対し、2016年6月末時点で既に50以上もの新しいファミリが確認されています。この猛威の要因の1つに、脅迫手口の巧妙化が挙げられます。ファイルを失うことへの恐怖から身代金を支払わせるというシナリオで、PC のスクリーンを単にロックするものから、偽の法律違反の警告を利用するもの、そして、実際にデータを操作するものまで、これらランサムウェアを利用するサイバー犯罪者は、手法を改良し続けています。
続きを読む犯罪目的で企業の最高経営責任者(CEO)や代表取締役社長、他の幹部社員になりすました偽装メールの横行は、いまや驚くべきことではありません。これらは、従業員は CEO や代表取締役社長からの依頼メールを断れないという弱みに付け込んだ手口です。文法的に不自然な文言、宝くじ当選や王族からの手紙といった非現実的な話など、メール内容から偽装メールだとすぐに判断できる時代は過ぎ去りました。今日、「Business Email Compromise(BEC、ビジネスメール詐欺)」の手口は、企業幹部に巧妙になりすまして権威を悪用し、最高財務責任者(CFO)など、社内の財務関係の責任や業務を担う従業員を標的にしています。
続きを読むトレンドマイクロでは、2015年 1年間における国内外の脅威動向についての分析レポートを、2016年 2月29日に公開いたしました。その中で、トレンドマイクロのクラウド型セキュリティ基盤「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」の統計から、特に Android端末 を狙うモバイル不正アプリが累積 1,000万個を突破したことが報告されています。 2010年8月に最初の Android不正アプリの検出に対応して以来、5年を経たずしての 1,000万個到達となりました。特に 2015年には、それまでの 5年間で登場したおよそ 430万個を大きく超える、およそ 630万個がわずか 1年の間に登場しました。
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