本ブログでは日本における 2016年個人と法人の三大脅威について、連載形式で解説しています。第 4回の今回は、法人が持つ情報を狙う「標的型サイバー攻撃」について解説します。多数の被害が発覚した 2015年に続き、2016年も複数の事例が散発的に発覚しています。しかし、2015年と 2016年では表面化した標的型サイバー攻撃の様相はまた異なるようです。
図1:2016年国内の個人と法人における三大脅威
■ 標的型サイバー攻撃発生時に求められる意思決定の難しさ
100万件以上の個人情報が漏えいした2015年6月の日本年金機構の事件後も、企業を狙う標的型サイバー攻撃の被害は後を絶ちません。標的型サイバー攻撃の侵入方法は93%が標的型メールを発端としており、その内容は非常に巧妙で、標的型サイバー攻撃の脅威を完全に防ぐことは難しいのが現状です。そのため、企業は標的型サイバー攻撃の被害に遭った場合を想定した対策、インシデント対応の体制をあらかじめ整えておくことが不可欠になっています。
2015年、国内では日本年金機構の事例をはじめとして多くの標的型サイバー攻撃の被害が表面化しました。トレンドマイクロでは、この2015年に確認した日本国内における「標的型サイバー攻撃」に関しての分析を行いました。この分析では標的型サイバー攻撃を、「初期潜入」から「端末制御」までの「侵入時活動」と、「情報探索」から「情報送出」に至るまでの「内部活動」の2段階にわけて分析を行っていますが、攻撃者が状況と目的に応じて臨機応変に攻撃手法を変化させている様が浮かび上がってきました。
標的型サイバー攻撃キャンペーン「Pawn Storm作戦」は、2007年頃から活動が確認されて以来、経済および政治的な諜報活動を目的としたサイバー攻撃を実行し、政府機関や民間組織を標的にして機密情報を窃取してきました。トレンドマイクロでは、2014年10月にこの標的型サイバー攻撃を報告し、2015年に入ってからも、弊社の継続した調査を元に確認した事例を本ブログを通じて報告しています。
そして、今回、マレーシア航空17便(MH17)の墜落事故についての国際調査団を主導する「Onderzoeksraad(オランダ安全委員会)」がこの「Pawn Storm作戦」の標的となっていることが判明しました。
続きを読むトレンドマイクロは、2015年7月、標的型サイバー攻撃キャンペーン「Pawn Storm作戦」において、当時未確認であった Java に存在するゼロデイ脆弱性「CVE-2015-2590」を突く攻撃を確認し、本ブログ上で報告しました。その際、この脆弱性とは別に、Java が使用する「Click-to-Play」を回避する脆弱性「CVE-2015-4902」も確認。Oracle は、10月20日、四半期ごとの定例セキュリティ更新で「CVE-2015-4902」に対応する修正プログラムを公開し、この脆弱性確認についてトレンドマイクロについて明記しています。
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