2016年に大手旅行代理店で個人情報漏えい事故が発生した以降、標的型サイバー攻撃の被害事例はほとんど公表されておらず、一見すると標的型サイバー攻撃は沈静化しているように見えます。しかし、トレンドマイクロが法人組織に対して実施しているネットワーク監視においては、標的型サイバー攻撃による侵入が確認された法人組織の割合は2015年から継続して概ね「4組織に1組織」となっています。表面化はしていないものの、標的型サイバー攻撃は依然として国内法人組織にとって深刻な脅威となっていることが言えます。さらに、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から公表された「情報セキュリティ10大脅威 2019」においても、昨年話題となったビジネスメール詐欺、継続して世界各国の法人組織で被害が発生しているランサムウェアを押さえ、標的型攻撃による被害が1位となっています。そして、トレンドマイクロでは、標的型サイバー攻撃において正規を隠れ蓑にした攻撃の隠蔽手口を確認しており、法人組織にとってこの脅威の検出が一層困難になっている傾向が明らかとなっています。
続きを読むWeb閲覧時に「セキュリティシステムが破損しています」や「システムがウイルスに感染しています」などのメッセージが突然表示され、驚いたことがある方は多いのではないでしょうか。これらは「偽警告」、英語では「Fake Alert」や「Fake Warning」と呼ばれ、利用者の不安をあおって誘導するサイバー犯罪者の常套手段です。本ブログでも2017年11月の記事など、何度も注意を呼び掛けている攻撃手法となります。
図:トレンドマイクロが1月に確認した偽警告の表示例
2014年に初めて確認された「EMOTET」は、追加モジュールによってさまざまな不正活動を行う機能によって現存するマルウェアの中で最も悪名高いものの1つとなっています。米コンピュータ緊急事態対策チーム(US-CERT)は、2018年7月、EMOTETによる被害の修復に州および地方政府は事例あたり最大100万ドル(2019年1月28日時点で約1億1,000万円)を費やしたとする注意喚起を公開しています。
EMOTETの活動とインフラストラクチャに関する2018年11月のブログ記事(英語)に続いて、本記事では「不正な文書ファイルを利用した拡散」と「実行ファイルのパックおよびデプロイ」を別々のインフラストラクチャが担う多層的な運用の仕組みについて解説します。
続きを読むアンダーグラウンドのオンライン掲示板を利用する個人や集団の多くは、取引が確実に行われることを保証するために多大な努力を払っています。問題が発生した際の仲裁はもちろん、身元審査や、第三者が取引を仲介するエスクロー制度および預り金など、相互監視による「抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)」の制度によってアンダーグラウンド市場は運営されています。皮肉なことに、アンダーグラウンドのオンライン掲示板においても、一般のオンライン掲示板と同様の「礼儀正しく倫理的な行動」を定めた規則が厳しく適用されています。本記事では、長期的な信頼と短期的な利益という観点からアンダーグラウンドにおけるサイバー犯罪者の振る舞いについて解説します。
■アンダーグラウンド市場における信頼
アカウントの序列
ほとんどのアンダーグラウンドのオンライン掲示板にはアカウントの序列が存在します。この序列は、多くの場合、アカウントの利用年数、活動レベル、評判、問題のある取引を埋め合わせるための預り金の額のように、いくつかの基本的で測定可能な指標に基づいて決定されます。
図1:オンライン掲示板におけるアカウントの序列
(右のアカウントほど序列が高い)
トレンドマイクロは2019年1月、感染端末にオンライン銀行詐欺ツール(バンキングトロジャン)をドロップするAndroid端末向け不正アプリ(「ANDROIDOS_ANUBISDROPPER」として検出)をGoogle Playで2つ確認しました。これらの不正アプリはユーティリティアプリに偽装しており、「Currency Converter」および「BatterySaverMobi」という名前が付けられていました。Googleはすでにこれらの不正アプリをGoogle Playから削除しています。
図 1:Google Playで確認された不正アプリ
「BatterySaverMobi」と「Currency Converter」
トレンドマイクロは、2019年1月1日、サイバー犯罪集団「Magecart」による活動の急増を検出しました。Magecartは、電子商取引(eコマース)サイトに不正なコードを注入し、ユーザが入力した支払い情報を窃取する攻撃で知られている集団です。トレンドマイクロは同集団の監視を続けてきましたが、これまで目立った動きは確認されていませんでした。
今回確認された攻撃では、277のeコマースサイトで、ユーザが入力した情報を窃取する「スキミングコード」(「JS_OBFUS.C」として検出)が読み込まれていました。調査の結果、このスキミングコードは対象のWebサイトに直接注入されていたわけではなく、フランスのオンライン広告企業「Adverline」が提供するJavaScriptライブラリに注入されていたことが判明しました。トレンドマイクロは迅速にAdverlineに連絡し、同社はフランスのコンピュータ緊急事態対策チーム「CERT La Poste」の協力を受けて直ちに必要な措置を講じました。
図 1:Webスキミング活動による不正なドメインへのアクセス検出数
(トレンドマイクロのクラウド型セキュリティ技術基盤
「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」の統計に基づく)
今回の攻撃を確認した時点で、トレンドマイクロの機械学習および挙動検出技術により、不正なダウンローダ(「Downloader.JS.TRX.XXJSE9EFF010」として検出)はプロアクティブにブロックされていました。
続きを読むトレンドマイクロでは、2018年1月~11月に発生したサイバー脅威の動向から、①フィッシング詐欺、②SMSを発端とする不正アプリ拡散、③「セクストーション」スパム を2018年に発生した個人利用者に対する「三大脅威」であると分析しています。そしてこのような脅威動向の全体を通じて、金銭に繋がる情報を狙う攻撃、特にクレジットカード情報や認証情報を中心としたいわゆる個人情報を狙う攻撃が拡大する裏で、過去に漏えいした情報はまた別の攻撃に利用され新たな被害を招く、言わば「被害の再生産」の構図が明らかになってきたと言えます。
本ブログでは、この2018年の脅威動向に関する速報を連載形式でお伝えします。第2回の今回は個人利用者に対する脅威の中から「フィッシング詐欺」に焦点を当てて分析します。
図:2018年国内の個人における三大脅威
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Radio Frequency(ラジオ波、RF)を使用する産業用リモートコントローラは、製造や建設、輸送など、さまざまな産業部門で産業用機械の制御に利用されています。過酷な使用に耐えるような頑丈な作りになっており、安全のために目立つ色が使われています。形状に基づいて分類すると、主に、ベルトに装着するタイプ、手持ちサイズ、ポケットサイズの3種類があり、ボタンやジョイスティックの数はさまざまです。基本的な仕組みは家庭用のリモートコントローラと同様です。リモートコントローラは、コマンドまたはボタン押下に対応したRFをトランスミッタ(TX)で送信し、ガレージの扉やクレーンのような制御対象機器がその信号をレシーバ(RX)で受信します。対象機器は受信した信号をコマンドとして解釈し、扉の開閉や荷物の吊り上げといった操作を実行します。
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