Linuxの脅威や「モノのインターネット(Internet of things, IoT)」マルウェアのリサーチャは、複数のマルウェア検体を扱うことの難しさをよく分かっているでしょう。IoTマルウェアの検体は通常、複数のアーキテクチャで実行可能となるよう形式変換されているため、処理と分類が難しいものです。また、それら複数種類のファイルを調査するためのツールや手法も不足しています。IoTおよびLinuxマルウェアのリサーチャにとって、Linuxの実行可能形式である「Executable and Linkable Format (ELF)」ファイルの調査が容易になるように、トレンドマイクロでは、「Trendmicro ELF Hash(telfhash)」を作成しました。「telfhash」は、Linux IoTマルウェアの検体を効果的に分類するのに役立つ、オープンソースのクラスタリングアルゴリズムです。つまり、telfhashは、シンボルテーブルハッシュとの間には決定的な違いが一部あるとはいえ、ELFファイルのインポートハッシュ(ImpHash)に類似した概念として理解可能です。トレンドマイクロは今年4月、このアルゴリズムを初めて公開しました。そしてこの度、telfhashはマルウェア検査サービス「VirusTotal」上で正式にサポートされる運びとなりました。
「モノのインターネット(Internet of things, IoT)」は、急速に私たちの日常生活に欠かせない存在になっています。個人のモバイル端末をはじめ家庭やオフィス、車の中、工場や町のいたるところに存在するIoTデバイスは、人々の生活を効率的で便利にしています。そのため、IoTの導入が増え続けているのも不思議ではありません。2019年には、公表されているIoTプラットフォームの数は620に増加しました。これは、2015年のプラットフォームの数の2倍です。今年2020年には、世界中で310億のIoTデバイスが利用されることが予想されています。それに伴い、サイバー犯罪者はネット恐喝などの悪質な目的から、バックドアやボットネットなどのIoTマルウェアを開発しています。トレンドマイクロの2019年年間セキュリティラウンドアップでも報告されているように、2019年にIoTボットネットによって実行されたブルートフォースによるログインの数は、2018年の3倍に跳ね上がっています。 (さらに…)
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