Linuxの脅威や「モノのインターネット(Internet of things, IoT)」マルウェアのリサーチャは、複数のマルウェア検体を扱うことの難しさをよく分かっているでしょう。IoTマルウェアの検体は通常、複数のアーキテクチャで実行可能となるよう形式変換されているため、処理と分類が難しいものです。また、それら複数種類のファイルを調査するためのツールや手法も不足しています。IoTおよびLinuxマルウェアのリサーチャにとって、Linuxの実行可能形式である「Executable and Linkable Format (ELF)」ファイルの調査が容易になるように、トレンドマイクロでは、「Trendmicro ELF Hash(telfhash)」を作成しました。「telfhash」は、Linux IoTマルウェアの検体を効果的に分類するのに役立つ、オープンソースのクラスタリングアルゴリズムです。つまり、telfhashは、シンボルテーブルハッシュとの間には決定的な違いが一部あるとはいえ、ELFファイルのインポートハッシュ(ImpHash)に類似した概念として理解可能です。トレンドマイクロは今年4月、このアルゴリズムを初めて公開しました。そしてこの度、telfhashはマルウェア検査サービス「VirusTotal」上で正式にサポートされる運びとなりました。
「モノのインターネット (Internet of Things、IoT)」を主なターゲットとするIoTマルウェアはいまだにIoTシステム・ユーザにとって警戒すべき脅威であり続けています。トレンドマイクロでは、お客様をIoTマルウェアの脅威から保護するため、IoTマルウェアの活動を継続的にモニタリングし、得られたデータや知見を当社セキュリティソリューション製品の検出精度向上に活用しています。
本記事では、代表的なIoTマルウェアである「Mirai」、「Bashlite」(別名Gadgyt、Qbot、Lizkebab など) 、およびそれらの亜種についてのモニタリングおよびリサーチによって得られたデータを分析した結果の一部を紹介します。また、当社セキュリティソリューション製品でのデータ活用事例について解説します。 (さらに…)
続きを読む2020年7月、F5Networksが提供する「BIG-IP」製品の2つの脆弱性が初めて公開されました。トレンドマイクロでは、この脆弱性の深刻度について理解を深めるため、本脆弱性およびその他の関連アクティビティの調査を行いました。この調査に関してはF5Networks側からご連絡、ご協力をいただいたことに感謝します。そしてこの調査の中で、モノのインターネット(IoT)を対象とするボット「Mirai」のダウンローダ(Trend Microでは「Trojan.SH.MIRAI.BOI」として検出)を確認しました。このダウンローダは露出した、つまりインターネット側からアクセス可能なBIG-IP製品を探し、公開された脆弱性の1つ「CVE-2020-5902」を利用して侵入、不正ペイロードの拡散を行います。また同時に既存の様々な脆弱性を利用することもわかりました。関連機器を使用するシステム管理者および個人は、各ツールに対して迅速にパッチを適用することを推奨します。 (さらに…)
続きを読むトレンドマイクロは、「Mirai」系IoTマルウェアの新しい亜種(「IoT.Linux.MIRAI.VWISI」として検出)を確認しました。この亜種は、「SORA」、「UNSTABLE」、「Mukashi」など過去数カ月の間に出現したMiraiから派生した亜種に新たに追加されるものとなります。この亜種は9つの脆弱性を利用する機能を備えていますが、中でも特にComtrend社製 VR-3033ルータの脆弱性(CVE-2020-10173)を利用対象に加えている点が注目されます。この脆弱性の利用は、過去のMiraiとその派生系の亜種では見られなかったものであり、IoTマルウェアを使用するサイバー犯罪者がマルウェアに新しい脆弱性を加えることによって、攻撃対象を拡大し続けていることを示しています。 (さらに…)
続きを読む「アンダーグラウンドマーケット最新事情」連載、最終回の今回は、トレンドマイクロが2019年に行ったアンダーグラウンドマーケットの最新調査の結果から、アンダーグラウンドマーケットで扱われている商品やサービスに関する新たな傾向と近い将来に起こりえる変化の予測について報告します。
(※記事内で使用する通貨単位として、「ドル、$」は米ドル、「円、¥」は日本円とします。また記事編集時6月時点の換算レートで1ドル=107円、1ビットコイン=100万円として計算します)
モノのインターネット(Internet of Things, IoT)の「モノ」、つまりIoT機器に搭載されている機能の多様性とその用途の範囲は、さまざまな産業や環境の改善に役立っています。家庭、工場、そして都市に利益が生みだされる一方で、IoT機器はセキュリティ上で脆弱性という形で想定外の脅威をもたらす可能性があります。
脆弱なIoT機器はセキュリティ上の弱点となり、ネットワーク経由での攻撃の可能性をサイバー犯罪者に開きます。多くのIoT機器は様々な便利な機能を実現するために、コンピュータ化しています。特定用途に使用されていた「機器」がコンピュータと出会ってネットワークに繋がったことにより、脆弱性などサイバー犯罪者がつけ入る隙が生まれた、ということです。 (さらに…)
続きを読むトレンドマイクロは、「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」デバイスに感染するマルウェア「Mirai」の亜種2つを確認しました。 「SORA」(検出名「IoT.Linux.MIRAI.DLEU」)と「UNSTABLE」(検出名「IoT.Linux.MIRAI.DLEV」)と名付けられたこれらの亜種は、脆弱性「CVE-2020-6756」を利用して監視カメラ用ストレージシステム「Rasilient PixelStor5000」へ侵入します。
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