本稿では、2022年第1四半期のランサムウェアの脅威状況を、最も猛威を振るったとされる3つのランサムウェアファミリおよび影響を受けた業界に焦点を当てながら解説します。
続きを読むボット型マルウェア「EMOTET」はサイバーセキュリティ業界でその名を馳せています。EMOTETを背後で操るオペレータが、スパムメールを使ってシステムを侵害した後、それらのシステムへのアクセス権を販売することに成功した為です。これはマルウェアをサービスとして提供する悪名高い手口「Malware as a Service(MaaS)」の一環として、MaaS利用者の不正ペイロードをEMOTETに配信させることで実施されました。バンキングマルウェア「Trickbot」や、ランサムウェア「Ryuk」/「Conti」などの悪名高い脅威の背後にいるオペレータは、自身の攻撃活動にEMOTETを用いた攻撃者グループの1つです。
続きを読むトレンドマイクロでは2021年1年間における国内外での脅威動向について分析を行いました。2021年、多くの企業や組織で急速なデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、サイバー犯罪者はコロナ禍の状況に便乗し、さまざまな不正活動や攻撃の機会を捉え、新旧さまざまな脅威をもたらしました。

トレンドマイクロでは2021年上半期(1~6月)において、二重恐喝の手口を用いて標的組織に被害をもたらすなど、新たな手口を取り入れたランサムウェア攻撃が依然として活発で高度化していたことを確認しました。従来のランサムウェア戦略とは異なり、新型ランサムウェアのオペレータは「暴露型」の手口として、感染端末から窃取したプライベートデータを人質として利用し被害者に圧力をかけ、身代金が支払われない場合は盗み出した重要情報をリークサイト上で暴露すると脅します。トレンドマイクロは2021年に入ってからこれらの脅威と旧来のランサムウェアファミリを追跡調査した結果、どの攻撃活動の勢いが増し、どのファミリが法人組織や個人ユーザにとって特に危険であるかを突き止めました。
続きを読む2021年第3四半期(7~9月)、新たな攻撃手口を取り入れたランサムウェアのオペレータは、特に「RaaS」と呼ばれるランサムウェアサービス(Ransomware as a Service)を通じて、アフィリエイト(実行役)によるランサムウェアファミリ「REvil(別名:Sodinokibi)」の拡散活動を活発化させていました。また、本ブログでは2021年7月5日公開の記事で、攻撃者がIT管理プラットフォーム「Kaseya VSA」内のゼロデイ脆弱性を悪用して、脆弱な顧客の端末に不正スクリプトを送り込んでいたことを報告しました。マネージド・サービスプロバイダ(MSP)やIT企業へIT管理ソフトウェアを提供している「Kaseya社」では通常、顧客にソフトウェアアップデートを配布するためにVSAソフトウェアを使用していましたが、当時VSAは攻撃者によって武器化されていたため、REvilランサムウェアを読み込んでいました。REvilランサムウェアは、被害者に身代金の支払いを促すために情報暴露型の二重脅迫の手口を用いることで知られています。
続きを読むトレンドマイクロでは2021年上半期(1~6月)における国内外での脅威動向について分析を行いました。2020年から続く新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは2021年に入っても大きな影響を与え続けています。このコロナ禍の状況において起こっている「テレワーク推進」と「クラウド化」という組織ネットワークの変化の加速を、サイバー犯罪者は「利用」しているかのように見えます。
組織のネットワークへ侵入し気づかれぬように内部活動を行う標的型攻撃の手法は、ランサムウェア攻撃においても常套手段化しています。この6ヶ月の間に、ランサムウェアグループは米国の大手ガス供給会社を操業停止させ、米国東海岸の半分が燃料不足に陥るという事件が発生しました。また、他のランサムウェアの攻撃者は、二重恐喝の手口を用いて企業から100万ドルの支払いを得ました。ランサムウェアの甚大な被害を防ぐには、ランサムウェアを展開される前にネットワーク内で発生している不審な活動を可視化し、適切な対応を迅速に行う必要があります。

図:ランサムウェアの暴露サイト上で確認した暴露投稿とそのうちの日本企業関連投稿の件数推移
(トレンドマイクロ調べ)
トレンドマイクロでは2020年の1年間における国内外での脅威動向について分析を行いました。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により、2020年は過去に類を見ない特別な1年間となりました。日本でも緊急事態宣言や外出自粛要請があり、法人組織は事業を継続するために、急激なテレワークの推進などの大きな変化に直面しました。これらの状況により、さらに進んだネットワーク境界線の曖昧化を利用し、サイバー犯罪者はさまざまな手口を駆使した攻撃を次々に展開しました。境界線内、つまりネットワークへ侵入する脅威として、2020年の象徴的存在となったのが新たなランサムウェア攻撃であると言えます。

トレンドマイクロでは2019年における国内外での脅威動向について分析を行いました。特に国内での脅威を振り返った場合、個人利用者が直接の被害を受ける攻撃としては、9月以降に顕著化した国内ネットバンキングのワンタイムパスワード突破を狙うフィッシング攻撃に加え、利用者のカード情報詐取を狙うECサイト改ざんの攻撃などが挙げられます。また、特に法人組織に被害を与える攻撃として、2019年前半には法人利用者におけるランサムウェア被害が顕在化しました。そして、10月以降には、メール経由で拡散する「EMOTET」の攻撃が、最も大きな脅威となりました。これらの攻撃の中からは「人の弱点を利用し常識を覆す攻撃」と「高度な攻撃手法の一般化」が見られています。
続きを読む2019年にも様々なサイバー脅威が登場し、利用者の安全を脅かしました。トレンドマイクロでは、過去1年間のサイバー脅威動向調査として、2019年1月~11月に発生したサイバー脅威を分析しました。結果、利用者に被害を与えた脅威の傾向として、一般の利用者が持つ「セキュリティの常識」、言い換えれば「これは安全」という利用者側の思い込みを覆すサイバー犯罪の被害が顕著化した1年間であったと結論付けました。攻撃手法自体は既に以前から発生しているものであっても、一般の利用者にはまだ認識がない、その攻撃手法が拡大した、などの理由により、利用者にとっての「安全」の思い込みを覆す攻撃の被害が顕著になったものと言えます。本記事では「この常識を覆すサイバー犯罪」の観点から、2019年の日本におけるサイバー脅威動向の速報をお伝えします。

図1:2019年、国内の個人と法人における三大脅威トピック