今回の記事では、LoRaWANを使用する組織に悪影響を及ぼす可能性のある危険なハードウェア攻撃の詳細を説明します。LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)とは、既に世界中のIoT構成に広く使用されている低消費電力の通信ネットワーク技術です。今後の企業およびスマートシティにおいては当たり前のように導入されていく技術と考えられています。導入の決め手となっているのは、その汎用性と手頃な価格です。一方、広範囲で使用されるデバイスおよびソフトウェアがそうであるように、サイバー犯罪者や攻撃者からの侵害・悪用の可能性は大きな懸念となります。トレンドマイクロではこれまで、LoRaWANのセキュリティとLoRaWANの通信の弱点について分析を行ってまいりました。広大な農地や都市全体に配置されるセンサなど、LoRaWANデバイスの多くが戸外に展開されるため、それらのデバイスを攻撃から守る対処は特に厄介なものとなります。つまり、保護されていないLoRaWANデバイスは、悪意のあるアクタに攻撃される可能性が高いということです。
続きを読む送信データに対する暗号化の必要性から、法人組織はTLSを頼りにするようになっています。これはインターネットを介してデータを送信する場合だけでなく、信頼された企業環境の中でも言えることです。TLSやSSLを使用しない場合、送信されたデータの真正性とエンドポイントのアイデンティティを検証することはできません。
本ブログ記事では、構成が不適切なAzure DevOps Server 2020に対するサプライチェーン攻撃について解説します。特に、継続的インテグレーション/継続的デリバリ(CI/CD)パイプラインエージェントがTLSを使用せず通信する場合の技術的な詳細を説明します。本ブログの公開に先立ち、トレンドマイクロはMicrosoft社に連絡を取っており、サプライチェーン攻撃のリスクを軽減するために同社が推奨するベストプラクティスについてもご紹介します。
続きを読む近年、コンテナやサーバレスといったテクノロジーに対する需要が増しています。ある市場調査によれば、全世界のコンテナ市場は2018年に12億米ドルだったものが2023年には49.8億米ドルに、またサーバレスアーキテクチャについては、2020年の76億米ドルから2025年には211億米ドルに成長することが見込まれるとのことです。コンテナやサーバレスに対する需要が高まっているのは、企業がアプリケーションを開発および展開する際に、スケーラビリティや効率、費用対効果の面で役に立つからです。
しかしながら、急激な成長を遂げるテクノロジーに共通する点として、コンテナベースのアプリケーションやサーバレスアプリケーションは、リスクや脅威と無縁ではありません。悪意を持つ攻撃者は、常にもっと多くの標的を見つけようと広範囲に網を張っていますので、さまざまな手口で頻繁な攻撃を仕掛けてくるようになるのも時間の問題です。こうした点を踏まえ、これらのアプリケーションを潜在的な攻撃から守るには、どのようなセキュリティ強化を企業は実施すればよいのでしょうか。
本ブログでは、開発者が知っておくべきセキュリティ上の考慮事項と、コンテナベースのアプリケーションやサーバレスアプリケーション向けに最適な防御を構築するにあたり、アプリケーションのランタイムにセキュリティを組み込むためのツールであるRuntime Application Self-Protection(RASP=実行時アプリケーション自己保護)の利用方法に焦点をあてて説明します。
続きを読む■ 新たな脆弱性への迅速な対応が求められるセキュリティチーム
昨今のサイバー攻撃では、ソフトウェアの脆弱性を悪用する手口が増加しています。代表的なものとして、トレンドマイクロでは新型コロナウイルスによるテレワークの普及に伴って需要が高まったVPNの脆弱性を悪用する通信がここ数年で増加していることを確認しています。これらは、例えばランサムウェア攻撃において攻撃者が標的のネットワーク内部に侵入するために積極的に悪用されています。また、日本国内において企業から公表された情報漏えい事例をトレンドマイクロが整理・集計したデータにおいても、インシデントが発生した原因のうちおよそ4割が脆弱性を占めています。組織におけるセキュリティインシデントを防ぐために、自組織をとりまくIT環境が抱える脆弱性を適切に対処することが求められています。

図 1:企業から公表されたWeb/クラウドからの情報漏えい事例 89 件における事故原因割合
(2021 年上半期, 公表内容を元にトレンドマイクロが独自に集計)
2021年2月、トレンドマイクロはランサムウェアファミリ「Conti」による攻撃に関連した一連の疑わしいイベントに対して警戒を強めていたところ、弊社製品であるTrend Micro Vision Oneによって攻撃の痕跡を確認しました。Contiは悪名高いランサムウェアファミリ「Ryuk」の後継とされていました。実際、攻撃者は次第に、過去にRyukの拡散に使用された手法と同じ手口で不正プログラムを配信するようになりました。たとえば、他のマルウェアファミリ「Trickbot」、「Emotet」、「BazarLoader」がContiの配信に使用されています。本稿では、商用のペネトレーションツール「Cobalt Strike beacon」がContiによってどのように使用されているか、またトレンドマイクロがTrend Micro Vision Oneプラットフォームを使用してContiによる脅威をどのように追跡したのかを解説していきます。
続きを読む- 【追記情報:2021年2月3日(木)】「「Samba」とは?」「過去に確認されたSambaでの脆弱性リスク」の項目を追加、「推奨される対策、暫定的な緩和策」に一部追記しました。
2022年1月31日、Unix系OSのコンピュータをWindowsのドメインコントローラやファイルサーバなどとして利用するために導入されるオープンソースソフトウェア「Samba」の更新版がリリースされ、新たな3つの脆弱性に対処しました。そのうち最も深刻な脆弱性であるCVE-2021-44142は、ヒープ領域内において境界外読み取り/書き込みが可能となる脆弱性です。これにより、遠隔から攻撃者が影響を受ける端末上でroot権限として任意のコードを実行できる可能性があります。
続きを読む法人組織が自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で発生するクラウド移行時の設定ミスは成長痛の一部とも考えることができます。クラウド環境における設定ミスは、サイバー攻撃やデータ侵害が発生し、法人組織がその影響に対処しなければならなくなった困難な状況で発見される傾向にあります。これらの設定ミスは、ビジネスやクラウドセキュリティにどのような影響を与えるのでしょうか?また、それらの影響を軽減するために、法人組織は何をすればよいのでしょうか?
続きを読む脅威の侵入口となる脆弱性は、比較的新しいものであっても脆弱性悪用ツール(エクスプロイト)を駆使する攻撃キャンペーンの格好の標的となります。本稿では、マルウェアがどのようにサーバの脆弱性を狙っているかについて解説します。具体的には、Atlassian Confluenceサーバに存在するWebwork Object-Graph Navigation Language(OGNL)インジェクションの脆弱性(CVE-2021-26084)およびOracle WebLogicサーバに存在する3つの脆弱性(CVE-2020-14882、CVE-2020-14750、CVE-2020-14883)への調査結果について説明します。また、企業や組織のセキュリティ部門が自社のワークロードのセキュリティを確保するための推奨事項についても説明します。
続きを読むLinuxは、その安定性と柔軟性、そしてオープンソースであることから、多くの人がユニークなオペレーティングシステム(OS)として評価しています。その高い評価を裏付けるのが、近年の数々の目覚ましい成果です。例えば、W3Techsの調査によると、世界の上位500台のスーパーコンピュータの100%がLinuxを使用しており、世界の上位1,000件のウェブサイトの50.5%がLinuxを使用しています。以前のLinuxに関する解説記事では、2017年のパブリッククラウドのワークロードの90%でLinuxが稼働し、このOSがクラウドを支配していることも紹介しました。また、現在ではLinuxはスマートウォッチや高速鉄道、さらには世界の主要な宇宙開発プログラムをも支えています。
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