米国の3つの州に存在する8都市が、サイバー犯罪者グループ「Magecart」によるEスキミング攻撃の標的となりました。これらの攻撃において、同グループは侵害したWebサイトで彼らの使用する不正スクリプト「スキマー」をホストし、標的とする地方自治体居住者のクレジットカード情報を窃取していました。 (さらに…)
続きを読むトレンドマイクロでは日夜多くのサイバー攻撃を監視していますが、その中で非常に興味深い事例を確認しました。監視チームはあるWebサイトのコンテンツ内に、「Magecart」が使用する不正スクリプトが埋め込まれているのを発見しました。ECサイトを狙う攻撃で猛威を振るうMagecartについては昨年12月20日の記事などでも報告していますが、これも同様の攻撃の一事例と思われました。ただし、その被害を受けたと思しきサイトは「Olympic Tickets 2020」のサイト名で東京オリンピックのチケット販売サイトを名乗っていました。httpsの実装や「運営会社」の表示もあり、サイトを一見しただけでは不審点が見つけにくいものでしたが、海外で東京オリンピックのチケットを販売してよい業者は決まっています。また海外ではチケット転売に関してライセンス制を敷くなど合法な国も多いものですが、今回の東京オリンピックに関しては組織委員会が用意する公式リセールサービス以外での転売は禁じられています。これらのことから、このサイトはオリンピックチケット販売を詐称する偽サイトであるものと判断されました。本記事執筆時点の2月3日現在、既にこの偽サイトはアクセス不可になっていますが、今後も同様の事例が登場する可能性は高く、注意が必要です。
図1:Magecartの使用するスクリプトが発見されたWebサイト
海外では指定業者にしか許可されていないはずの
オリンピックチケット売買を謳っており、偽サイトと判断できる
図2:サイト上のGoogle翻訳機能で日本語化した際の表示例
トレンドマイクロは、2019年1月1日、サイバー犯罪集団「Magecart」による活動の急増を検出しました。Magecartは、電子商取引(eコマース)サイトに不正なコードを注入し、ユーザが入力した支払い情報を窃取する攻撃で知られている集団です。トレンドマイクロは同集団の監視を続けてきましたが、これまで目立った動きは確認されていませんでした。
今回確認された攻撃では、277のeコマースサイトで、ユーザが入力した情報を窃取する「スキミングコード」(「JS_OBFUS.C」として検出)が読み込まれていました。調査の結果、このスキミングコードは対象のWebサイトに直接注入されていたわけではなく、フランスのオンライン広告企業「Adverline」が提供するJavaScriptライブラリに注入されていたことが判明しました。トレンドマイクロは迅速にAdverlineに連絡し、同社はフランスのコンピュータ緊急事態対策チーム「CERT La Poste」の協力を受けて直ちに必要な措置を講じました。
図 1:Webスキミング活動による不正なドメインへのアクセス検出数
(トレンドマイクロのクラウド型セキュリティ技術基盤
「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」の統計に基づく)
今回の攻撃を確認した時点で、トレンドマイクロの機械学習および挙動検出技術により、不正なダウンローダ(「Downloader.JS.TRX.XXJSE9EFF010」として検出)はプロアクティブにブロックされていました。
続きを読む2019年以降、トレンドマイクロでは「Water Pamola」と名付けた攻撃キャンペーンを追跡してきました。この攻撃キャンペーンでは、当初、不正な添付ファイルを含むスパムメールを介し、日本、オーストラリア、ヨーロッパ諸国のオンラインショップが危険にさらされていました。しかし、2020年初頭から、Water Pamolaの攻撃活動にいくつかの変化が見られるようになりました。被害者は、主に日本国内のみとなり、トレンドマイクロによる最近のデータによると、スパムメールの代わりにオンラインショップの管理者が管理画面で顧客注文を確認する際に不正スクリプトが実行される状況が確認されるようになりました。
図1:Water Pamolaの攻撃フロー
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