トレンドマイクロは、2019年2月下旬、新しいバックドア型マルウェア「SLUB」を送り込み感染PCから情報を窃取する攻撃を確認しました。この攻撃は、改ざんしたWebサイトに攻撃コードを仕込む「水飲み場型攻撃」によって対象PCを感染させ、リポジトリホスティングサービス「GitHub」およびコミュニケーションプラットフォーム「Slack」を利用してコマンド&コントロール(C&C)通信を行います。SLUBは、感染PCから収集したファイルを、ファイル共有サービス「file.io」を利用して攻撃者に送信します。トレンドマイクロがSLUBを確認した時点で、このマルウェアは一般的にはまだ存在を認識されていないようでした。チャットプラットフォームが悪用される可能性については以前から指摘していましたが、Slackの悪用が確認されたのは今回が初めてです。
調査によって判明した「戦略、技術、手法(Tactics, Techniques and Procedures、TTP)」から、今回の攻撃は、通常のサイバー攻撃ではなく、有能な攻撃者によって実行された隠ぺい性の高い標的型攻撃だと考えられます。トレンドマイクロは、問題の脅威についてすぐにカナダのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)である「Canadian Centre for Cyber Security」に通知しました。同センターは水飲み場型攻撃に利用されたWebサイトの運営者に注意喚起し、この脅威への対処を支援しました。
■水飲み場型攻撃と脆弱性の利用による感染の流れ
図1は水飲み場型攻撃による感染の流れを図示したものです。
図1:感染の流れ