3月8日(木)、SEC(米国証券取引委員会)は株価高騰を示唆するスパムが大量に確認されたことを受けて35銘柄の株について取引停止措置を行ったことを発表しました。
スパムによる株価操作の試みは英語で “pump and dump” と呼ばれ、以前から存在する手口です。インサイダー情報を装ってある株が高騰するという内容のスパムを送信し、真に受けてしまった投資家が株を買い付けて、実際に株価が上がったところで売り抜けるというやり方です。特に、株価が$1を割るような安い銘柄が狙われることが多く、株価が7倍以上になった例もあるようです。今回の措置はこのような株価操作を狙ったスパムの影響が大きくなってきたことを示しているものといえるでしょう。最近流行する不正プログラムは、ほとんどすべてがなんらかの金銭的な目的に繋がっています。最終的には外部サーバからダウンロードする不正プログラムにより、様々な活動が可能となりますが、スパム関連の活動が主流です。この2月に流行した通称「ストームワーム」(「TROJ_SMALL.EDW(スモール)」、「WORM_NUWAR.CQ(ヌーウォー)」)でも、最終的にはスパム用メールサーバ構築とメールアドレスの収集を行うモジュールがダウンロードされていました。こうして築かれたスパムメール送信ネットワークにより、大規模なスパム送信が行われます。
今回問題になった株価操作スパムの送信にも使われているかもしれません。ウイルスのスパム送信という目的の先にもう一段、株価操作という金儲けが繋がっていたかもしれないと感じさせます。
※画像はトレンドマイクロで受信した株価操作目的のスパムメール例です。このスパムで言及されている銘柄は今回のSECの取引停止対象に入っています。
参考URL:SECの発表 http://www.sec.gov/news/press/2007/2007-34.htm