「CERBER」の作成者およびこのランサムウェアを利用するサイバー犯罪者は、自身の利益をより増やすことに余念がないようです。このランサムウェアは、バージョン 4.0から、企業に大きな影響を与えるデータベースファイルの暗号化機能を追加しています。整理された情報を保管する収納庫であるデータベースは、企業が保持する情報を保管・検索・分類・分析・管理することを可能にします。効果的に利用すれば、企業の効率アップに役立つデータベースですが、これらの重要なファイルを人質に取られれば、ビジネスの運営と収益に損害を受ける恐れがあります。
続きを読む「Business Email Compromise(BEC、ビジネスメール詐欺)」の1つである「CEO詐欺」とは、企業の最高経営責任者(CEO)その他の幹部社員のメールアカウントに偽装し、社内の送金に携わる最高財務責任者(CFO)や会計担当者、監査役に不正な送金指示メールを送信する詐欺です。この CEO詐欺の攻撃キャンペーンが、過去 2週間以上にわたり、米国 17カ所・英国 10カ所・カナダ 8カ所の医療機関を標的にしていたことが確認されました。攻撃の対象となった医療機関には、総合病院や特殊医療を扱う大学病院、そして診療所も含まれていました。製薬会社もこの攻撃の対象外ではなく、英国を拠点とする 1社とカナダの 2社が標的とされました。
CEO詐欺の送金指示メールが本物であると思い込んだ従業員は、平均して 1事例につき 14万米ドル(2016年11月25日現在、約1,584万円)もの資金をサイバー犯罪者が管理する銀行口座に送金したことが報告されています。
続きを読む「次世代エンドポイント対策」、または「次世代型のウイルス対策」が、最近メディアで盛んに取り上げられています。しかし、この言葉の本当の意味とは何なのでしょうか? 自社のセキュリティに責任を持つ IT管理者にとっては、最近流行りの言葉ではなく、増加するサイバー犯罪者、それも頭が切れ、確固たる決意を持って攻撃してくる相手から自社を効果的に守るソリューションを見つけることが重要です。これには、複数の脅威対策技術による相乗効果が鍵となってきます。また同時に、マーケティングにおける「FUD」(Fear:恐怖、 Uncertainty:不確定、 Doubt:疑念)手法についてもよく理解すべきです。しかし、そういった調査を行う時間を作るのが難しいこともあるでしょう。ここでは、セキュリティ分野において最近注目されている「次世代エンドポイント対策」における 5つの迷信についてご紹介します。
続きを読むゼロデイ脆弱性を利用する攻撃ツールは、その脆弱性が修正されればたちまち威力を失います。攻撃者は、更新プログラムが公開されてしまう前に、自身の攻撃ツールを最大限に活用しようと考えるようです。そのような例として、トレンドマイクロは、2016年10月末と 11月初旬に、諜報活動を目的とした集団「Pawn Storm」が、世界中の政府機関や大使館を狙った標的型攻撃を活発化するのを確認しました。標的型サイバー攻撃キャンペーン活動で知られる Pawn Storm は、「Fancy Bear」、「APT28」、「Sofacy」、「STRONTIUM」という別名でも知られています。Pawn Storm は、Adobe Flash Player に存在するゼロデイ脆弱性「CVE-2016-7855」を、Microsoft Windows のオペレーティングシステム(OS)の抱える権限昇格の脆弱性「CVE-2016-7255」と組み合わせて攻撃に利用します。なお、「CVE-2016-7855」の更新プログラムは 2016年10月26日に、「CVE-2016-7255」の更新プログラムは 2016年11月8日に公開されました。
続きを読む2016年10月31日以降、トレンドマイクロではランサムウェアの拡散を目的とした日本語マルウェアスパムの流布を確認しており、総務省などからも注意喚起が公表されています。これまで、日本でのランサムウェアの拡散は主に英語メールによるものであり、世界的なばらまき型のマルウェアスパムが流入しているものと言えました。日本語マルウェアスパムによるランサムウェアのアウトブレイクと確認できたものは、2016年4月の事例のみと言えます。今回の日本語マルウェアスパムも、トレンドマイクロのクラウド型セキュリティ技術基盤「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」の統計によれば、日本国内で 30件ほどしか確認されておらず、あまり広い範囲に流布されているものではないと考えられます。しかしトレンドマイクロでは、今回と同様の手口の日本語マルウェアスパムを 10月以降に繰り返し確認しており、ランサムウェアを使用するサイバー犯罪者が新たに日本を標的とし始めたこと示すひとつの兆候であるものと考えています。
図1:2016年1~9月にアウトブレイク(検出台数 400件以上)した
ランサムウェア拡散目的マルウェアスパムの使用言語割合(トレンドマイクロ調べ)
新しいエクスプロイトキット「Bizarro Sundown Exploit Kit (Bizarro Sundown EK)」が確認されました。トレンドマイクロは、複数の種類の暗号化型ランサムウェア「LOCKY」を拡散するこのエクスプロイトキットの2つのバージョンを確認しました。このエクスプロイトキットは、以前から存在する「Sundown Exploit Kit(Sundown EK)」が土台になっています。Sundown EK は、過去に優勢だった「Neutrino Exploit Kit(Neutrino EK)」の活動が停滞した時、「Rig Exploit Kit(Rig EK)」とともに活発化し始めました。
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