東京オリンピックの開催を目前に控え、大会運営を狙うサイバー攻撃の発生が懸念されています。そんな中、2月中旬には、海外でソーシャルメディアのオリンピック公式アカウントがハッキングされた事例が報じられました。またそれとは別のオリンピック関連事例として、トレンドマイクロでは大会関係者を狙ったものと考えられる不審メールの存在を、国内でも確認しています。
続きを読むプロパガンダ(宣伝工作)は、一般大衆の意見を誘導し世論を操作するために、国家や組織によって古くから利用されてきた効果的な手法です。冷戦時代には、欧米の各ラジオ局が欧米支持のメッセージを東欧諸国に向けて放送し、プロパガンダのツールとして利用することに成功しました。また、東西ドイツを再統一に導いた決定的な要因は、欧米のテレビ放送であったと考えられていることは、視覚媒体が持つ影響力の証拠となっています。テレビは、東欧の生活とはかけ離れた欧米の理想的な生活を見せつけました。プロパガンダを成功させるための重要な要因は、概して2つあります。1つは、価値のある有意な情報を収集すること、そしてもう1つは、強力な伝達経路を利用することです。メッセージが一般大衆に届かなければ、プロパガンダは成功しません。
続きを読む近年、「Fake News(フェイクニュース)」という単語に注目が集まっています。「フェイクニュース」とは言葉の通り、偽のニュース、嘘のニュース、という意味ですが、特に近年ではインターネットを利用して一般大衆を誘導し、世論を操作するためのサイバープロパガンダ(宣伝工作)手法を指す専門用語となっています。今回、トレンドマイクロでは継続したサイバー脅威の監視と調査の中から、インターネットの影響力を利用して世論を操る「フェイクニュース」の手法に迫ることができましたので、本ブログにて連載記事の形式で報告いたします。多くの情報が飛び交うインターネットは既に実社会に大きな影響を与える存在となっており、特に一般のインターネット利用者の参加によって成り立つ各種ソーシャルメディアはその影響力を増しています。「フェイクニュース」による世論操作を目指す攻撃者は、インターネット、特にソーシャルメディア上で注目を集めるための様々な手法を駆使し、一般のインターネット利用者の意見誘導を試みていました。
続きを読む2015年末、トレンドマイクロは「2016年はネット恐喝の年になる」と予測しました。この予測は、早くも 2016年第1四半期に現実のものとなり、その後、2016年末までランサムウェア事例は急増し続け、個人だけでなく、病院、大学、公共交通機関、法執行機関までが被害に遭う現実を目の当たりにしました。また、2016年には大規模情報漏えいが矢継ぎ早に発生し、情報の保護がいかに脆弱であり、サイバー犯罪者に簡単にアクセスされる現実を思い知らされました。
これら 2016年の事例に基づき、企業は、2017年、どのような点に注意してサイバーセキュリティ対策を講じるべきでしょうか。
続きを読む2016年も残すことわずか10日となりました。2016年を振り返ると、加速するランサムウェアの脅威について第3四半期の脅威動向で報告しました。また、直近では、12月15日(米国時間)、 今年 2回目のYahoo の情報漏えい事例が明らかになったところです。今回、2回に分けて、2016年に発生した主要なセキュリティ事例について振り返ります。
- 第1回
- 最も持続可能なサイバー犯罪:ランサムウェアによる攻撃
- Yahoo! を襲った史上最大の情報漏えい
- Microsoft の月例修正プログラムのリリース数が最大に
- 予期しなかった Apple製品のゼロデイ脆弱性
- 絶えることのない Adobe Flash Player の脆弱性
オランダやルーマニアを拠点にしている小規模なサーバホスティング事業者が、2015年初頭以来、標的型攻撃や標的型サイバー攻撃の温床となっています。トレンドマイクロでは、2015年5月から現在まで、この小規模ホスティング事業者提供のサーバに端を発する深刻なサイバー攻撃を100件以上確認しています。攻撃キャンペーン「Pawn Storm作戦」でも、米国、欧州、アジア、中東各地の政府を標的とした少なくとも80件の攻撃で、同様のサーバが利用されています。このホスティング事業者は、正式には「仮想専用サーバ(VPS)」のホスティング事業者としてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで登記されています。しかしインターネット上の公開情報によると、この事業者のオーナーがUAEの法律など気に留めていないことは明らかです。実際、Pawn Storm作戦やその他の攻撃でも、この VPS事業者のサーバが利用され、認証情報窃取のフィッシング詐欺を介して UAEの政府系機関を標的にしています。パレスチナのガザに拠点を置くハッカー集団としても知られる「DustySky」の攻撃者も、コマンド&コントロール(C&C)サーバのホスティングや標的型メールの送信で、この VPS事業者のサーバを定期的に利用しています。
続きを読むエクスプロイトキットは2015年の脅威状況において、脅威連鎖の中核的存在でした。新たな脆弱性を素早く攻撃可能にすると同時に、「malvertisement(不正広告)」や改ざんされたWebサイト経由で広範囲に攻撃が拡散されていました。本ブログでは、これらのエクスプロイト動向についてトレンドマイクロが行った分析について2回に分けて報告いたします。第1回の今回は、新たに確認された脆弱性からエクスプロイトキットを利用した攻撃の一部として用いられた新しい手法など2015年におけるエクスプロイトキットの「改良」について、第2回は、トレンドマイクロのクラウド型対策技術基盤「Smart Protection Network(SPN)」から のフィードバックをもとに、エクスプロイトキットが与えた影響の規模、また、最も影響を受けた国や地域について報告します。
続きを読む「フィッシング詐欺」は、利用者をだまして認証情報や個人情報を詐取するサイバー犯罪です。典型的な手口としては、電子メール(フィッシングメール)により不正サイト(フィッシングサイト)へ誘導し、利用者自身にサイトへのログインに必要なアカウントとパスワードなどの認証情報を入力させて詐取するものです。このようなフィッシング詐欺は既に古典的ともいえるサイバー犯罪手口の 1 つですが、現在も個人と法人、双方のインターネット利用者にとって深刻な問題となっています。事実、フィッシング詐欺撲滅を目指す米国の非営利団体「Anti-PhishingWorking Group(APWG)」の最新レポート(2016 年第4 四半期(10~12 月)版・英語情報)によれば、2016 年の 1 年間に確認されたフィッシング詐欺の攻撃状況は 2004 年の監視開始以降最悪と報告されており、その脅威はますます高まっているものと言えます。
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