トレンドマイクロでは、2016年第1四半期(1~3月)における国内外の脅威動向について分析を行いました。昨年顕著だった「ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)」の脅威はさらに拡大を続けており、より巧妙な手口や凶悪な活動内容を含む新種も多く登場しました。
図:国内でのランサムウェアの検出台数推移
オランダやルーマニアを拠点にしている小規模なサーバホスティング事業者が、2015年初頭以来、標的型攻撃や標的型サイバー攻撃の温床となっています。トレンドマイクロでは、2015年5月から現在まで、この小規模ホスティング事業者提供のサーバに端を発する深刻なサイバー攻撃を100件以上確認しています。攻撃キャンペーン「Pawn Storm作戦」でも、米国、欧州、アジア、中東各地の政府を標的とした少なくとも80件の攻撃で、同様のサーバが利用されています。このホスティング事業者は、正式には「仮想専用サーバ(VPS)」のホスティング事業者としてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで登記されています。しかしインターネット上の公開情報によると、この事業者のオーナーがUAEの法律など気に留めていないことは明らかです。実際、Pawn Storm作戦やその他の攻撃でも、この VPS事業者のサーバが利用され、認証情報窃取のフィッシング詐欺を介して UAEの政府系機関を標的にしています。パレスチナのガザに拠点を置くハッカー集団としても知られる「DustySky」の攻撃者も、コマンド&コントロール(C&C)サーバのホスティングや標的型メールの送信で、この VPS事業者のサーバを定期的に利用しています。
続きを読む2016年3月中旬、米連邦捜査局(FBI)とマイクロソフトは新たな暗号化型ランサムウェア「SAMAS(サマス)」の存在を注意喚起しました。トレンドマイクロではこの新型ランサムウェアについて、2月下旬の時点で情報を入手し既に「RANSOM_CRYPSAM.B」として検出対応済みです。トレンドマイクロのクラウド型セキュリティ技術基盤「Smart Protection Network(SPN)」の統計によれば、この新型ランサムウェアはまだ広く大規模に拡散している状況ではなく、日本への流入も確認されていません。しかし、このランサムウェアの存在に注目が集まりつつある状況のため、現時点で弊社が確認している情報を本稿にてお知らせいたします。
続きを読むEメールは、サイバー犯罪者にとって大きなビジネスかもしれません。2014年、世界中で 1日当たり 1, 963億件の Eメールが送受信されました。そのうち 1,087億件はビジネスに関連したものです。こうしたメールが毎日膨大に送受信されることを考えると、サイバー犯罪者が大企業を狙って Eメールを悪用することは容易に想像できます。そして、Eメールの悪用は、甚大な経済的損害や個人情報の窃取につながる可能性があります。例えば、2014年に発生した大規模な情報漏えい事例により、米大手ホームセンター「Home Depot」は 6,200万米ドル(2015年9月3日時点、約74億6,850万円)、米大手小売業「Target」は 2億2,900万米ドル(275億8,530万円)の損害を受けたと報告されています。しかし、ビジネスだけが Eメールを悪用した攻撃に脆弱だというわけではありません。トレンドマイクロの調査によると、2015年上半期、Eメールを悪用した脅威はユーザを無差別に狙いました。
続きを読む7月23日公開のブログ記事で Flash Player の脆弱性を狙う Web改ざんの攻撃が多数観測されていることをお伝えしました。この攻撃は現在も進行中であり、本稿を書いている間にも次々と新たな改ざんサイトが発見されています。トレンドマイクロにおいて日本の脅威分析を担当するラボである JP リージョナルトレンドラボ(JP RTL)から続報をお知らせします。
続きを読むイタリア企業「Hacking Team」から漏えいしたとされる情報からこれまで未確認だった脆弱性が多数確認されています。中でも、Adobe Flash Player に関する脆弱性については、日本を狙う改ざんWebサイト経由での標的型サイバー攻撃で利用されていた事例を7月14日付の本ブログ記事でお伝えしています。そして今回トレンドマイクロでは、この Adobe Flash Player の複数の脆弱性の利用した攻撃が、日本国内の改ざんされたWebサイト経由で継続して行われている事を確認しました。
続きを読むイタリア企業「Hacking Team」への攻撃で漏えいした情報から、トレンドマイクロは、Windows に存在する新たなゼロデイ脆弱性を確認しました。弊社から報告を受けた Microsoft は、その後、定例外のセキュリティ情報となる「MS15-078」で、この脆弱性「CVE-2015-2426」を修正する更新プログラムを公開しました。この脆弱性は、Windows Vista、Server 2008以降のサポート中のすべてのバージョンに影響を与えます。セキュリティ情報によると、この脆弱性を利用することにより、権限昇格の他、任意のコードが実行される恐れがあります。なお、今回の更新プログラムは、すでに公開された「MS15-077」の置き換えとなります。「MS15-077」は、今回の更新プログラムでは対象外の Windows Server 2003 が含まれているため、この更新により、サポートが終了したサーバ用OS も危険にさらされる可能性があります。
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