トレンドマイクロは2021年半ばから、非常に実体の見えづらいサイバー諜報活動グループ「Earth Lusca」を追跡調査しています。このグループは、スピアフィッシング(標的型)攻撃や水飲み場型攻撃など、従来のソーシャルエンジニアリングの手法を用いた攻撃キャンペーンを通じて世界中の組織を狙っています。同グループの主な動機はサイバー諜報活動と見られており、本稿執筆時点における被害組織のリストには、政府機関、教育機関、宗教運動団体、香港を拠点とする民主化推進団体や人権団体、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)研究機関、報道機関など、企業価値の高い組織が含まれています。ただしギャンブルや暗号資産(旧:仮想通貨)に関連する企業も標的としていることから、Earth Luscaグループは金銭的な動機による活動も行っていると見られています。
続きを読むトレンドマイクロは、水飲み場型攻撃を経由して中国国内のオンラインギャンブル企業を狙う新種のマルウェアを発見しました。水飲み場型攻撃に用いられる改ざんサイトへアクセスしたサイト訪問者は、Adobe Flash PlayerやMicrosoft Silverlightなどの著名なアプリの正規インストーラを偽装したマルウェアローダをダウンロードするよう仕向けられます。このローダを詳しく調べると、商用のペネトレーションテストツール「Cobalt Strike」のシェルコード、あるいはPythonで書かれたドキュメント化されていないバックドア型マルウェアを読み込むことがわかりました。トレンドマイクロは、この新たに確認されたマルウェアを「BIOPASS RAT(Remote Access Trojan)」と命名しました。
続きを読む攻撃者集団「Iron Tiger」による東南アジアのギャンブル企業を標的とした攻撃キャンペーン「Operation DRBControl」が確認されてから1年以上が経過しましたが、この度「Iron Tiger」が引き続きギャンブル業界を狙っている証拠が新たに確認されました。
このブログ記事では、Iron Tigerが攻撃に使用するツールキットが更新され、従来3つのファイルを使用して感染させるマルウェアであった「SysUpdate」が5つのファイルを使用するものへ変更された点について解説します。また、これまでに確認されている類似の「TTPs(=Tactics, Techniques and Procedures:戦術、技術、手順)」から考察される他の攻撃者グループとの関連性について説明します。最後に、Iron Tigerが使用するルートキットについて解説します。中でもカーネルレベルでファイルを隠蔽するために使用されるルートキットは、これまでIron Tigerによる使用が確認されていなかったものです。
続きを読む開発者は、ソフトウェアのバージョン更新や、プロジェクトの管理と維持のためにこまめにソースコードを変更したり再加工したりする必要があります。そのような目的のために広く利用されている「GitHub」は、バージョン管理システムを提供するオンラインのリポジトリホスティングサービスです。ソースコードの管理・共有・合作・統合のための貴重なプラットフォームを提供している GitHubは、プログラマや開発者のためのソーシャル・ネットワーキング・サイトのように活用されています。
しかし、GitHubは悪用されることもあります。オープンソースのランサムウェアのプロジェクト「EDA2」と「Hidden Tear」は、教育目的を意図して作成されたはずでしたが、GitHubで公開されて以来、さまざまなランサムウェア亜種を生み出し、企業に損害を与えてきました。「モノのインターネット(Internet of Things、IoT)」機器の不具合を悪用するツールも GitHubで入手可能でした。標的型攻撃で利用されたキーロガー「Limitless」でさえ、GitHubのプロジェクトにリンクしていました。
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