トレンドマイクロは、2018 年 9 月 18 日、本ブログで 8 月 29 日に解説したメモリ解放後使用(Use After Free、UAF)の脆弱性「CVE-2018-8373」を利用する別の攻撃を確認しました。CVE-2018-8373 は、比較的新しいバージョンの Windows に搭載された Internet Explorer(IE)の VBScript エンジンに影響を与えます。Microsoft はすでに、2018 年 8 月の月例セキュリティ更新プログラムにおいて、CVE-2018-8373 を修正しているため、この脆弱性攻撃は、更新済みの IE に対して無効です。影響を受けるバージョンの詳細はこちらを参照してください。
続きを読むトレンドマイクロが運営する脆弱性発見・研究コミュニティ「Zero Day Initiative(ZDI)」は、2018 年 7 月 11 日、Internet Explorer(IE)の危険度の高い脆弱性が実際の攻撃で利用されていることを確認しました。これは、Microsoft の 7 月の月例セキュリティ更新プログラム公開のちょうど翌日のことでした。ZDI は、脆弱性の修正を支援するためにすぐに詳細情報を Microsoft に通知しました。問題の脆弱性には「CVE-2018-8373」という識別番号が割り当てられ、8 月の月例セキュリティ更新プログラムにて修正されています。CVE-2018-8373 は、IE でメモリ内のオブジェクトを処理する VBScript エンジンにおける脆弱性です。影響を受ける IE のバージョンは、IE9、IE10、および IE11 です。ただし、Windows 10 Redstone 3(RS3) の IE11 は、初期設定で VBScript が無効化されているため影響を受けません。影響を受けるバージョンの詳細はこちらを参照してください。
ZDI は、CVE-2018-8373 を利用した不正な Web トラフィックを確認しました。図 1 は問題の URL です。
図 1:CVE-2018-8373 を利用する不正な Web サイトの URL
今このブログ記事を PC から読んでいる皆さん、ご使用の Windows のバージョンはなんでしょうか?もう XP やそれ以前の OS をご使用の方はいないと信じていますが、Windows Vista、Windows 7、Windows 8.1 の方々はすぐにご使用の Internet Explorer(IE)のバージョンを確認し、最新ではない以前のバージョンをご使用の場合はすぐにアップデートを行うことをお勧めします。2016年1月13日以降マイクロソフト社のサポートポリシーが変更され、サポート対象が「各オペレーションシステムの最新版の IE のみ」となります。つまり、「最新版」でない古いバージョンはサポート終了する、ということです。
OS のバージョン | IE のバージョン |
Windows Vista SP2 | Internet Explorer 9 |
Windows 7 SP1 | Internet Explorer 11 |
Windows 8 | ※ Windows 8.1 へアップデートが必要 |
Windows 8.1 Update | Internet Explorer 11 |
Windows Server 2008 SP2 | Internet Explorer 9 |
Windows Server 2008 R2 SP1 | Internet Explorer 11 |
Windows Server 2012 | Internet Explorer 10 |
Windows Server 2012 R2 | Internet Explorer 11 |
この表はそれぞれの Windows環境における「最新の」IE のバージョンです。各OS上でこれより古いバージョンの IE は 1月12日でサポート終了となります。クライアントOS に絞れば、Vista のみが IE9 でそれ以外は IE11 が最新となります。ここで IE とは別に注意すべきは Windows 8 です。Windows Vista の延長サポートが 2017年4月まで続く一方で、Windows 8 のサポート期間は 2016年1月12日で終了するため、Windows8.1以上へのアップデートが必要です。IE同様速やかにアップデートを行うことをお勧めします。
続きを読む2014年6月公開の Microsoft のセキュリティ更新プログラムで、「isolated heap(隔離されたヒープ)」と呼ばれる改善がありましたが、7月のセキュリティ更新プログラムでも、Internet Explorer(IE)に関するいくつかの改善が確認されています。なかでも最も興味深く、また賢明だと思われるのは、IE に存在する「Use After Free(解放後使用)」の脆弱性を利用した攻撃を軽減するように設計された改善策です。本稿では、この改善策を「delay free」と呼びます。この改善策により、参照数が 0 の場合、IE はオブジェクトのヒープ領域を即時に解放しなくなります。
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