ナイジェリアの経済金融犯罪委員会(EFCC、Economic and Financial Crimes Commission)は、インターポールのサイバー犯罪対策活動「Operation Killer Bee」の一環としてのおとり捜査により、日本を含む世界的な詐欺キャンペーンに関与していたナイジェリア出身の容疑者3名を逮捕しました。この捜査活動は、攻撃グループと彼らの手口に関する情報を提供したトレンドマイクロの協力のもと、インターポールと各国支局、東南アジア各国の法執行機関によって主導されました。
2021年に入り今もなお、コロナ禍の影響により個人や企業の日常業務に大きな支障が生じています。多くの組織において、業務継続のためにテレワークが不可欠なものとなると同時に、「クラウドコンピューティング」の重要度も増しています 。実際、クラウドコンピューティングへの依存度は昨年から急上昇しており 、今後も続くに違いありません。クラウドコンピューティングがデジタルトランスフォーメーション(DX)の中心となる中、攻撃者もこの状況に注目しクラウドインフラストラクチャを悪用しています。特にクラウド技術を利用する攻撃経路の中でも、クラウドのメールサービスは最もシンプルかつ最もわかりやすい存在であることから、逆に最も悪用されやすい存在ともなっています。フィッシングメール、不正スパムメール、ソーシャルエンジニアリング攻撃など、サイバー犯罪の歴史と共に洗練されてきた攻撃手法がクラウドメール経由でも猛威を振るっています。
トレンドマイクロでは法執行機関との協力も交え、世界のサイバーアンダーグラウンド状況を継続して調査しています。その中で、トレンドマイクロ独自の調査および国際刑事警察機構(インターポール)との協力により、アフリカのサイバーアンダーグラウンドの状況が明らかになってきています。中でも「ナイジェリア詐欺(別名:ナイジェリアの手紙、419 詐欺)」に代表される西アフリカのサイバー犯罪者は、現在日本も含めて世界的に被害が出ている「ビジネスメール詐欺(BEC)」と関連が深いことがわかっています。また、不正プログラムが廉価に入手可能な北アフリカから中東にかけてのアンダーグラウンドマーケットの特徴など、特に日本にも影響があると考えられる事例を紹介します。
続きを読む「簡単に大儲けできる」-これは、「Business Email Compromise(ビジネスメール詐欺、BEC)」の手口がサイバー犯罪者に好まれる理由を簡潔に表したものです。事実、この手口は大いに利用されています。2016年6月の米連邦捜査局(FBI)の発表によると、2013年10月から 2016年6月におけるBEC による被害総額は約31億米ドル(約3245億円。2016年6月17日のレートで換算)に達し、BEC による被害が増大していることを明らかにしています。トレンドマイクロは、BEC は 2017年も継続する脅威であり、さらに標的を絞り込んだ詐欺に利用されると予測しています。
BEC の1つである「CEO詐欺」では、サイバー犯罪者が企業や組織の役員のメールアカウントを偽装し、あるいは乗っ取り、自身の口座へ資金を送金させる指示メールを送信します。技術的には高度なものではなく、企業はそのような手口に対する防衛を強化することができます。その1つは、メールの本文から CEO詐欺であるかどうか判断できるようにしておくことです。この記事では、注視するべきポイントを説明します。
犯罪目的で企業の最高経営責任者(CEO)や代表取締役社長、他の幹部社員になりすました偽装メールの横行は、いまや驚くべきことではありません。これらは、従業員は CEO や代表取締役社長からの依頼メールを断れないという弱みに付け込んだ手口です。文法的に不自然な文言、宝くじ当選や王族からの手紙といった非現実的な話など、メール内容から偽装メールだとすぐに判断できる時代は過ぎ去りました。今日、「Business Email Compromise(BEC、ビジネスメール詐欺)」の手口は、企業幹部に巧妙になりすまして権威を悪用し、最高財務責任者(CFO)など、社内の財務関係の責任や業務を担う従業員を標的にしています。
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