2016年に大手旅行代理店で個人情報漏えい事故が発生した以降、標的型サイバー攻撃の被害事例はほとんど公表されておらず、一見すると標的型サイバー攻撃は沈静化しているように見えます。しかし、トレンドマイクロが法人組織に対して実施しているネットワーク監視においては、標的型サイバー攻撃による侵入が確認された法人組織の割合は2015年から継続して概ね「4組織に1組織」となっています。表面化はしていないものの、標的型サイバー攻撃は依然として国内法人組織にとって深刻な脅威となっていることが言えます。さらに、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から公表された「情報セキュリティ10大脅威 2019」においても、昨年話題となったビジネスメール詐欺、継続して世界各国の法人組織で被害が発生しているランサムウェアを押さえ、標的型攻撃による被害が1位となっています。そして、トレンドマイクロでは、標的型サイバー攻撃において正規を隠れ蓑にした攻撃の隠蔽手口を確認しており、法人組織にとってこの脅威の検出が一層困難になっている傾向が明らかとなっています。
続きを読むRadio Frequency(ラジオ波、RF)を使用する産業用リモートコントローラは、製造や建設、輸送など、さまざまな産業部門で産業用機械の制御に利用されています。過酷な使用に耐えるような頑丈な作りになっており、安全のために目立つ色が使われています。形状に基づいて分類すると、主に、ベルトに装着するタイプ、手持ちサイズ、ポケットサイズの3種類があり、ボタンやジョイスティックの数はさまざまです。基本的な仕組みは家庭用のリモートコントローラと同様です。リモートコントローラは、コマンドまたはボタン押下に対応したRFをトランスミッタ(TX)で送信し、ガレージの扉やクレーンのような制御対象機器がその信号をレシーバ(RX)で受信します。対象機器は受信した信号をコマンドとして解釈し、扉の開閉や荷物の吊り上げといった操作を実行します。
続きを読む2018年を通じ、世界的にフィッシング詐欺の攻撃が急拡大しました。また、7月前後からはメールの文面のみで脅迫する「簡略版セクストーション」スパムも登場し、世界各国で被害を与えました。トレンドマイクロでは、こうした最新の脅威動向や IT技術を取り巻く市場動向を基に、来年2019年のセキュリティ脅威予測を行いました。
■2019年のセキュリティ脅威予測
2018年までの脅威動向や市場動向を踏まえ、セキュリティの脅威がどのように変化していくのかについて、トレンドマイクロでは以下のカテゴリに対する予測を行いました。
- 個人利用者
- 企業・法人
- 社会・政治状況
- セキュリティ
- 産業制御システム
- クラウドインフラ
- スマートホーム
トレンドマイクロでは2018年第3四半期(7~9月)における国内外の脅威動向について分析を行いました。2018年に入り世界的に「フィッシング詐欺」の攻撃が急増しましたが、同様の「人をだます」手法の拡大が見られています。特に日本では、ビジネスメール詐欺やばらまき型の「簡略版セクストーション」で「日本語版」が確認されるなど、世界的な「詐欺」と「脅迫」の手法の流入事例が相次ぎました。
図:9月に確認されたセクストーションスパムのメール例
医療機関では、患者の個人情報や医療記録といった沢山の機微な情報を取り扱っていますが、こうした情報はサイバー犯罪者にとって格好の標的となる可能性があります。例えば、患者の個人情報をそのままアンダーグラウンド市場で売買したり、また情報を悪用すれば、さらなる詐欺行為を行うことが可能になるなど、サイバー犯罪者はさまざま方法で利益を得ることができるためです。また、機微な情報だけがサイバー犯罪者の狙いではありません。医療機関のネットワークに攻撃を仕掛け、医療機器やシステムの動作を不安定にし、患者の命を危険にさらすことで、身代金を要求するといった手口も想定されるでしょう。
2018年も国内の医療機関において、様々なセキュリティインシデントが発生しており、医療機関では自組織のネットワークのセキュリティリスクを把握した上で、セキュリティ対策の強化を検討していくことが求められています。
続きを読む「水」および「エネルギー」は重要インフラストラクチャの中でも特に中心的な部門と言えます。どちらの事業部門も、最新技術を取り入れながら、自然資源の利用と供給を効率化するために必要な改善を続けてきました。目下、そのような取り組みは、特に産業用 IoT(Industrial Internet of Things、IIoT)技術の統合による相互に連結されたシステムの構築に向けて進められています。水事業やエネルギー事業におけるこのような継続的開発により、個人および法人は、より効率的で信頼できる資源供給の恩恵を享受しています。しかし一方で、水事業やエネルギー事業に関連する重要システムの保護はますます難しいものとなっています。監視制御システム(Supervisory Control And Data Acquisition、SCADA)やヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のような重要インフラストラクチャを支えるシステムで発見される脆弱性の増加に従い、重要部門が直面するリスクについて認識することの重要性が高まっています。
続きを読むEC サイトによるインターネット取引の急拡大によって、国内でのクレジットカード(以下、カード)利用は年々増加しており、2020 年に行われる東京オリンピックへの訪日客によるカード決済の急増も予測されます。このように国内でのカード決済のさらなる普及が見込まれている一方で、トレンドマイクロが 2017 年に実施した調査では、卸・小売業の国内企業のうち、34.3% が POS システム・ネットワークでのインシデントを経験し、35.2% が EC サイトでのセキュリティインシデントを経験していることが分かっています。実際、国内では EC サイト等を含む公開サーバからカード情報が漏えいするといった事例が複数公表され、一方海外では POS システムに感染したマルウェアによってカード情報が窃取されるといった被害事例が顕著になっています。こうした背景から、より安全なカード利用の実現を目的に、2018 年 6 月 1 日に「改正割賦販売法」が施行されました。その結果、カード情報を取り扱う法人組織では、「カード情報の適切な管理」や「不正利用防止」のために必要な措置をとることが求められるようになりました。
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